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ラグビー早明戦「対抗戦で負け→大学選手権でリベンジ」は過去に何度? 実力拮抗の“新時代” 明暗を分けた原点回帰とシンプルなミス
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生島淳Jun Ikushima
photograph bySankei Shimbun
posted2021/12/28 11:08
![ラグビー早明戦「対抗戦で負け→大学選手権でリベンジ」は過去に何度? 実力拮抗の“新時代” 明暗を分けた原点回帰とシンプルなミス<Number Web> photograph by Sankei Shimbun](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/8/f/700/img_8f49940b7035f70c26f0845e681d0b9a201231.jpg)
PR大賀宗志(3年)のトライで逆転に成功した明治。徹底したFW戦に持ち込み、対抗戦のリベンジを果たした
今回の準々決勝で感じたのは、早明戦で敗れた側が戦術について、「シンプル」になれるということだ。
明治の3番、大賀宗志(3年)は「今年は春から早稲田に3連敗していて、4連敗で4年生を卒業させるわけにはいかなかった」と話し、早明戦の結果、「敵陣22mラインに突入したら、FWで取り切る」ということを徹底したという。
近年の明治は、BKにも才能豊かな選手が揃い、FWとBKのバランスが取れていた。ところが、早明戦ではお互いが「相手の顔を立てる」という感じで、敵陣22mに侵入しても、FWで攻める時もあれば、BKで仕掛ける時もあった。ところが、明治の看板であるスクラムでボールコントロールを失うなど、仕留めの部分で中途半端な印象が拭えなかった。
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私は、現代のラグビーの流れからいっても、明治がFWとBK、「双方のメンツを立たせざるを得ないだろう」と予想し、選手権での早稲田の優勢を予想した。
しかし、明治は原点に返った。
徹底したFW戦である。
後半30分の逆転トライは、FWが早大ゴール前で何度もスクラムを組み直し、結果的に10分ほど居座ったうえにトライを奪った。これぞ時代を超越したかのような早明戦のゴール前、明治の面目躍如である。
早大の3番、小林賢太は「スクラムに時間を使いすぎてしまい、アタックの時間がなくなってしまった」と悔やんでいた。明治は早稲田のボールポゼッションの機会を奪う、会心の戦い方だっただろう。
明治は準決勝で東海大、そして決勝で帝京との再戦を望む。FWに特化した明治には、まだ伸びしろがあるのではないか。