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ラグビー早明戦「対抗戦で負け→大学選手権でリベンジ」は過去に何度? 実力拮抗の“新時代” 明暗を分けた原点回帰とシンプルなミス
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph bySankei Shimbun
posted2021/12/28 11:08
PR大賀宗志(3年)のトライで逆転に成功した明治。徹底したFW戦に持ち込み、対抗戦のリベンジを果たした
一方の早稲田にとっては、悔やまれる敗戦となった。敗因はあまりにも明解で、論評の必要もない。
後半10分に明治に15対13と追い上げられた直後、見事なアタックから圧倒的な数的有利を作ったが、WTB小泉怜史からSH宮尾昌典へのパスがノックオンに。
試合後、大田尾竜彦監督も、「なにやってんだという感じです。あそこでゴール下にトライを取っていれば22対13となり、相手もメンタル的に追い込まれたと思いますし」と話すしかない。
さらに、逆転されてからもチャンスはあり、途中交代で入ったSO吉村紘がペナルティキックを得て、タッチキック。これがミスとなり、本来は相手ゴール前の早稲田ボールのラインアウトになるはずが、キックを蹴った地点での明治ボールのスクラムになってしまった。
こうしたミステイクをしていては、明治は許してくれない。
プレッシャーゲームで、早稲田はあまりにもシンプルなミスを犯し、勝利を手放してしまった。
早稲田と明治が織りなす文脈を読んでいくと、ラグビーの難しさ、面白さが浮かび上がる。
2021年度は最終的に明治に軍配が上がったが、歴史が幾層にも積み重なったこの両校の対戦は、いつ見ても深い。