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〈日本シリーズで“履正社出身”対決〉“意欲がなかった”山田哲人をT-岡田が変えた 恩師・岡田監督「二人に対する指導で共通していたのは…」 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byJIJI PRESS

posted2021/11/20 11:04

〈日本シリーズで“履正社出身”対決〉“意欲がなかった”山田哲人をT-岡田が変えた 恩師・岡田監督「二人に対する指導で共通していたのは…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

履正社→ホームランキング経験者のT-岡田、山田哲人が日本シリーズで激突。恩師・岡田龍生監督に去来する思いとは――

 高校生のバッティング練習は多くの場合、5本打つとしたら、1、2本は手抜きになる。しかし、山田は一つも手を抜かなくなった。全てのボールに対して、“チャンスの場面”など打席シーンを設定。打たないといけないプレッシャーを自分にかけることで、勝負強い打者像を作り出すためだった。

 見違えるような姿になった山田は春、夏の大阪大会を続けて制した。夏は4回戦でライバルのPL学園を撃破。思えば、その時、試合の休みと重なったT-岡田がその試合を見ていた。偶然だが、その年、T-岡田は初めてのホームランキングに輝いている。

二人に対する指導の“共通点”とは

 もっとも、山田はT-岡田のバッティングスタイルを真似したわけではない。プロへ行くための意識として考え方を変えただけなのだが、二人がホームランキングになったことは、それは、つまり履正社、岡田監督の指導の賜物に他ならない。
 
 そう水を向けると、岡田監督は声を弾ませ、こう語った。

「履正社から両リーグのホームラン王が出たというのは、僕にとってはちょっとした自慢でもあります。Tはそれだけのものを持っていましたが、山田に関しては盗塁王や首位打者を狙うような選手と思っていた。まさか、ホームラン王を取るバッターになるなんて思っていませんでした。

 二人に対する指導で共通していたのは、小細工をしなかったこと。しっかりとスイングすることを言ってきました。それと、逆方向に引っ張るという感覚がわかってくるにつれて、打球が変わってきたかなと思います。Tに関しては割と早くからできるようになりましたが、山田は引っ張り専門だった。それが、3年生になってから右に打てるようになって変わってきたと思います」

「両方を応援しに行くからなとは言っているんでね」

 岡田監督が二人の母校を離れる最後の年に、日本シリーズという舞台で対決が実現するのはなんともストーリー性を感じさせるが、果たして、二人はどんな打棒を見せてくれるだろうか。

「20日はチケットを取ったので見に行こうと思っています。二人には両方を応援しに行くからなとは言っているんでね。日本シリーズという“最後の戦い”をしっかり見たいと思います」

 岡田監督の最高傑作とも言える二人の対決。

 高校時代からのストーリーを知れば、益々、楽しみである。

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