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シリーズ初戦で勝ちパターンが崩れた衝撃…オリックスの逆転を招いた“ゲームチェンジャー”と“たった1つのミス”とは
posted2021/11/21 12:10
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Naoya Sanuki
1つの四球が流れを引き寄せた。
2点を追う9回裏のオリックスの攻撃。マウンドにはヤクルトのスコット・マクガフ投手が上がっていた。
その絶対守護神にオリックス打線が襲いかかかかる。逆転の狼煙を上げたのは紅林弘太郎内野手だった。3球であっという間に追い込まれたが、そこからしっかりとボールを見極め、ファウルで粘り7球目の外角ストレートを右前に弾き返した。そして送り出されたのがメジャー通算282本塁打の実績を誇るアダム・ジョーンズ外野手だった。
初球の139kmのカッターはボールとなったが、続く外角のカットとスプリットを空振り。これまた3球であっという間に追い込まれた。しかし外角低めの真っ直ぐを見送ると、続く5球目がポイントだった。
外角低めに切れる144kmのカットボールにバットが出かかったが、これを見切った。
ゲームの流れは一気にオリックスへ
「ボール」
球審が静かに首を横に振ってフルカウント。さらに6球目のカットもファウルで逃れると、7球目が外角低めに外れて一塁に歩く。そしてこのチームのムードメーカーが奪い取った1つの四球で、ゲームの流れは一気にオリックスへと傾いていった。
チームの主軸を担う助っ人として、鳴り物入りでジョーンズが来日したのが2020年。しかし、コロナ禍の中での1年目は87試合の出場で打率2割5分8厘の12本塁打と不本意な成績で終わった。
そして今季は年齢的な衰えもあり、思ったような打撃が継続できず、しかも自分にとって替わる若手選手が成長を見せるチーム状態を考えて、自ら中嶋聡監督に志願して代打として活躍の場を見出した。もともとメジャー通算で1823安打を放ち、数々の修羅場を経験してきた一流選手である。