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〈箱根駅伝の前哨戦〉全日本大学駅伝を制するのはどこか? 注目すべき「優勝候補5校」と「ダークホース2校」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAsami Enomoto
posted2021/11/06 11:06
昨年、大エース田澤廉の快走により14回目の優勝を果たした駒澤大学。今年はどうか?
出雲では東洋大の石田洸介(1年)、早稲田大の石塚陽士(1年)がともに区間賞を取る走りを見せ、チームを勢いづかせた。他にも関東の大学でいえば10名の1年生がデビューを果たし、東京国際大の佐藤榛紀、白井勇佑、国学院大の平林清澄は素晴らしい走りを見せた。チームの上位進出には、ルーキーの活躍が欠かせない。
また、出雲では故障やコンディション不良のためにエントリーから外れた選手が今回、満を持して戻ってきている。主力、中間層の選手が戻ってくれば、当然、チーム力が増すので、レースを有利に戦える。
レースの展開でいえば、ハイペースになるかどうかが焦点になるだろう。
出雲は気温が30度を超え、スローペースで入った。スタートダッシュをもくろみ、1区にスピード系の選手を置いた場合、スローペースになるとその意義が失われる。タイムを持つ選手を保持する強豪校にとってはレースの主導権を握るためにハイペースでのレースが望ましいが、果たして狙い通りの展開にできるかどうか。
では、優勝争いに食い込むであろう“有力校”を見ていこう。
優勝候補1・東国大)“ヴィンセントだけ”じゃない強さ
「今年は、東京国際大が脅威になる」
出雲駅伝後に、多くの監督が口にした言葉だ。
これは東京国際大が出雲を制したこともあるが、脅威に感じたのは、アンカーを走ったイェゴン・ヴィンセント(3年)以外の日本人選手の走力が想像以上に高く、レース内容にほとんど隙がなかったからだ。
おそらく、ヴィンセントが最後で3、4人抜いて勝利をしていれば各チームは「ヴィンセントに負けた」と諦めもつく。全日本でも当然脅威にはなるが、区間と距離が増えるので、ヴィンセントの影響力は限定的になる。だが、日本人選手が思った以上に手強く、ヴィンセントだけを見ているわけにはいかなくなった。
出雲駅伝優勝で、目標は「三冠達成」に修正
「ヴィンセント以外の日本人選手に課題があったが、みんながうまく繋いでくれた」
レース後、大志田秀次監督は、そう語り、勝因について“ヴィンセント頼み”ではなく、ひとりひとりがやるんだという意識改革が進んだことを上げた。
選手のマインドも優勝したことで「自分たちはやれるんだ」という自信が膨らみ、勢いがついた。目標は「3冠達成」に変更されたという。もっとも大志田監督は、冷静に「全日本は5位以内」を目指しているが、今回のオーダーでは出雲優勝に貢献した丹所健(3年)は故障上がりのため、ヴィンセントは戦術的理由で補欠に登録されている。主力とエースが、5区6区7区あたりに入ってくれば、かなり締まったオーダーになる。