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低調オマーン戦から改善も…“中国が自滅した1-0”は「最低限の結果」 10月のサウジとオーストラリア戦こそ真の大一番〈W杯最終予選〉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFP/AFLO
posted2021/09/08 12:55
中国戦、1-0の勝利に笑顔を浮かべる選手は少なかった。前半戦の試金石である10月シリーズ、日本代表はさらに力を見せなければならない
「移動中に時間があったので、その合間に選手同士で話し合いました。前回のW杯予選も厳しい戦いだったので、もう1回覚悟が必要だということは全選手に伝わったんじゃないかなって思います」
5バックで“リスペクト過剰”だった中国の自滅
ただし、その一方で、中国に助けられた面も否めない。
森保一監督が本来のパフォーマンスを取り戻すことに注力したのに対して、中国の李鉄監督は自分の選手たちのことを信頼しきれなかったのかもしれない。
これまで4バックで戦っていたにもかかわらず、この試合では5バックを採用し、守りを固めてきたのだから。
「直近までの試合を分析したうえで5バックはないと思っていました。試合直前にスタッフが情報を拾ってくれて、相手のスタメンを見たときに5バックで来るのではないかと、急遽準備しました」
指揮官が明かせば、右サイドを突破して決勝点をお膳立てした伊東純也も振り返る。
「5バックで来ることが分かったので、試合が始まるまで少し、守備のハメ方とかを試しました」
こうした柔軟性や対応力は評価できるが、前半がワンサイドゲームとなったことを考えれば、日本に対する中国の“リスペクト”があまりに過剰だったとも言える。中国が自滅したゲームでもあったのだ。
課題だった左サイド、“誰が幅が取るのか”の連係
最終予選の戦いは、これからもっと厳しいものになる――。
そのことを選手たちも分かっている。試合後、柴崎岳は気を引き締めた。
「1試合目の失態を取り戻す最低限の結果だったと思いますし、これを続けないと意味がない。個人的には1試合目のこともあって、そんなに喜ばしい、嬉しい気持ちにはなれませんでした」
前半あれだけ主導権を握りながら、後半に追加点を奪えずに反撃を許すなど、課題や問題点も少なくない。
例えば、左サイドの連係だ。左サイドハーフで先発した古橋亨梧がインサイドに潜り込み、ハーフスペースを攻略しようとしたり、ゴール前に飛び出そうとする動きは相手の脅威になっていたに違いない。
しかし、左サイドバックの長友佑都もインサイドにポジションを取ることが多く、誰が幅を取るのかが曖昧になるシーンが散見された。