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吉田輝星、奥川恭伸はもう現れない? 甲子園ベスト4に「絶対的エース」がいない“2つの理由”《球数制限だけではない》
posted2021/08/27 17:05
text by
西尾典文Norifumi Nishio
photograph by
KYODO
8月26日にベスト4が出そろった夏の甲子園。勝ち残ったのは近江(滋賀)、智弁和歌山(和歌山)、智弁学園(奈良)、京都国際(京都)とすべて近畿勢となった。これは長い全国高校野球選手権の歴史でも初のことである。
すでに「オール近畿勢のベスト4」は多くが取り上げているので、この稿では勝ち上がった4校の特徴を過去のベスト4を振り返りながら見ていきたい。
まず着目すべきは、今年のセンバツから4強の顔ぶれがすべて入れ替わっているという点だ。春夏連覇を目指した東海大相模は部員の新型コロナウイルス感染によって神奈川大会の準々決勝で出場辞退となってしまったが、中京大中京(愛知)と天理(奈良)はいずれも地方大会の準決勝で敗退。春のベスト4の中で唯一、夏へ戻ってきた明豊(大分)も初戦で専大松戸(千葉)に完封負けを喫し、早々に姿を消している。
だが、改めて過去の戦績を振り返って見ると、それは今年だけに限った傾向ではないようだ。2015年から19年までの過去5大会のベスト4の顔ぶれは以下のようになっている(学校名は当時)。
過去5大会で春夏連続ベスト4は3校
15年春/敦賀気比(福井)東海大四(北海道)大阪桐蔭(大阪)浦和学院(埼玉)
15年夏/東海大相模(神奈川)仙台育英(宮城)関東第一(東東京)早稲田実(西東京)
16年春/智弁学園(奈良)高松商(香川)龍谷大平安(京都)秀岳館(熊本)
16年夏/作新学院(栃木)北海(北海道)明徳義塾(高知)秀岳館(熊本)
17年春/大阪桐蔭(大阪)履正社(大阪)秀岳館(熊本)報徳学園(兵庫)
17年夏/花咲徳栄(埼玉)広陵(広島)東海大菅生(西東京)天理(奈良)
18年春/大阪桐蔭(大阪)智弁和歌山(和歌山)三重(三重)東海大相模(神奈川)
18年夏/大阪桐蔭(北大阪)金足農(秋田)済美(愛媛)日大三(西東京)
19年春/東邦(愛知)習志野(千葉)明石商(兵庫)明豊(大分)
19年夏/履正社(大阪)星稜(石川)明石商(兵庫)中京学院大中京(岐阜)
春夏連続でベスト4に進出したのは16年の秀岳館、18年に春夏連覇を達成した大阪桐蔭、そして19年の明石商のわずか3校のみ。いずれも充実の投手力に加え、攻守に隙が無い好チームだったとはいえ、負けたら終わりのトーナメントだけに、勝ち続けることの難しさをよく表しているとも言えるだろう。