月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
「中高年には縁遠い」スケボー、「価値観崩壊」のサーフィン…“オヤジジャーナル”が戸惑いつつも喜んだ新種目の引力
posted2021/08/01 06:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Naoya Sanuki/JMPA
東京五輪が開幕してからのスポーツ紙をあらためて読んでみました。毎日がお祭り&大ネタ満載でした。スポーツ紙だから五輪で盛り上がるのは当然です。一方で気づくこともある。今回の五輪は社会面もにぎやかなのだ。たとえば、
『猛暑 選手襲う“天候の牙”』(サンスポ7月26日)
テニス選手が東京の暑さに悲鳴をあげているのは一般紙でも大きく報じられました。各紙「社会面」で一斉に扱っていた。東京五輪はスキャンダラスな大会であることもわかります。私は東京2020を「社会面五輪」と勝手に呼んでいます(五輪はもともとスキャンダラスだったけど、コロナや猛暑や運営側のせいで問題点がわかりやすく可視化されただけとも言える)。
ただ、酷暑については東京を擁護しておきたい。
というのも8年前に都がIOCに提出した立候補ファイルに「この時期の天候は晴れる日が多く、温暖。アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」と記していたからです。最初から大嘘ついていたわけですから今さら騒ぐほうがおかしい。そしてこの報告をシレっと受け取ったIOCはろくでもない「興行主」であることがわかります。東京に特別なうま味を感じたのでしょうか。こうしてアスリートファーストではない五輪が始まりました。
「アジェンダ2020」が示す東京五輪の読み解き方
では連日の競技報道はどう読んだらいいのか。スポーツ紙はどのページもお祭り状態だから逆に迷います。子どもの頃に読んだグリム童話「ヘンゼルとグレーテル」に“お菓子の家”というのがあり、どのお菓子から手を付けてよいか空想して迷いましたがあれと似ています。
そんななか私が競技の読み方として参考にしたのが「アジェンダ2020」です。以前にIOCが作った五輪の改革提案のこと。ここにヒントがたくさん隠れている。
たとえば「アジェンダ2020」の一つに「種目提案権を開催都市に与える」があります。開催都市は希望する競技種目を追加することができる。巨額経費を敬遠して立候補都市が減っていることへの対策でもある。