月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
「中高年には縁遠い」スケボー、「価値観崩壊」のサーフィン…“オヤジジャーナル”が戸惑いつつも喜んだ新種目の引力
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2021/08/01 06:00
スケートボード・女子ストリートで金メダルに輝いた西矢椛。競技後に話題となった「ラスカル」の真相にほっこりした中高年多数
東京大会では野球とソフトボールが久しぶりに復活しました。日本人の野球好きを考えると「興行」を盛り上げるためにアジェンダ2020はありがたい提案だった。ソフトボールは今回最初に始まった競技。興行論として考えるとなるほどなと実感しました。野球とソフトは、次回大会でまた消滅しますけど。
ほかの競技の読み方としては、東京大会から初めて加わった競技にも注目。空手、サーフィン、スポーツクライミング、スケートボード。若者に人気でテレビ番組としても海外人気が高いコンテンツが含まれる。これも五輪改革というより興行としての改革というニュアンスがみえる。
というわけで、“お菓子の家”状態のスポーツ紙で私が注目したい読みどころをようやく見つけました。
それは「オヤジジャーナルと新種目」です。
スポーツ紙は13歳の金をどう伝えたか
若者に人気の新種目を「おじさんがつくっておじさんが読む」と私が勝手に定義しているオヤジジャーナルはどう伝えたか? スポーツ紙はオヤジジャーナルの華。新種目と相性が悪そうだからとても興味がありました。
すると、スケートボード(ストリート)で13歳の西矢椛が金メダルを獲得。これは岩崎恭子(1992年・平泳ぎ)の14歳6日を抜く日本人最年少の金。
このときのスポーツ紙記者たちの反応がよかったのです。まずサンスポの「甘口辛口」というコラム(7月28日)では、
《五輪を何度も取材した大先輩の元記者が苦笑いした。「陸上と並ぶ競泳という五輪の基幹競技で打ち立てられた記録が、昨日今日の競技に抜かれるとは」。かつては不良がやる遊びのイメージが強く深夜の街で滑られるとうるさくもある。中高年には最も縁遠いスポーツだろう。》
大先輩の元記者の言葉も香ばしいが、スケボーを「かつては不良がやる遊びのイメージ」「中高年には最も縁遠いスポーツだろう」と書いていて戸惑いが見えていい。