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「中高年には縁遠い」スケボー、「価値観崩壊」のサーフィン…“オヤジジャーナル”が戸惑いつつも喜んだ新種目の引力 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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photograph byNaoya Sanuki/JMPA

posted2021/08/01 06:00

「中高年には縁遠い」スケボー、「価値観崩壊」のサーフィン…“オヤジジャーナル”が戸惑いつつも喜んだ新種目の引力<Number Web> photograph by Naoya Sanuki/JMPA

スケートボード・女子ストリートで金メダルに輝いた西矢椛。競技後に話題となった「ラスカル」の真相にほっこりした中高年多数

 日刊スポーツには「スポーツ取材35年超」という荻島弘一記者がサーフィンを取材した数年間を書いていた(7月28日)。カルチャーショックを受けたと正直に書いていた。

 サーフィンの選手は他競技とはメンタリティーが違うという。「勝つことだけを重視しない」「何時間でも練習したい」。小さいころから金メダルを目指して、厳しい練習に耐えてきた選手とは真逆だったといいます。

 そして、

《彼らは「得点するためだけに小さな波に乗る」のは嫌なのだ。波を選び、ベストなパフォーマンスをみせる。ファンを魅了し、感動させる一発にこそ価値がある。》

 これを目の当たりにした荻島記者は、

《新競技の取材で、30年の記者生活で培った五輪への価値観は崩壊した。いや、選手たちが壊してくれた。頭の固くなった古い記者に新しいものの見方、考え方を教えてくれた選手に感謝したい。》

 読みごたえのある良いコラムでした。

スポーツ紙の価値観も変えうる新競技

 スポーツ報知ではサーフィン担当の大和田佳世記者が書いていた(7月28日)。

 新種目に決まって以降「サーフィンがスポーツだと知ってもらいたい」と選手や家族、関係者から何度もこの言葉を聞いたという。チャラく見られがちなサーフィン。

《自然の波を相手にするサーフィンは、一歩間違えば死につながる。試合は相手との駆け引きが重要になる。まさに真剣勝負なのに「スポーツ」として見てもらえない。》

 新たな競技に興味を持ってもらうきっかけとして五輪メダルはインパクトがある。「スポーツ」として世間から認知される大きな助けになったはず、と。

 オヤジジャーナルが新種目をどう伝えるかという視点にしぼって追ったら、各記者のここ数年の奮闘や葛藤がこちらに迫ってきました。若手・女性記者を担当につけるのもいいし、おじさん記者に正直に書かせるのもいい。

 五輪競技の見どころ・読みどころは新種目にあるのではないでしょうか。

 以上、7月の「月刊スポーツ新聞時評」でした。

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