Jをめぐる冒険BACK NUMBER
冨安健洋や上田綺世が復帰、主力を休ませつつ“交代枠”も大活躍で3連勝… “順調すぎる一抹の不安”をねじ伏せろ〈五輪サッカー〉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byYohei Osada/AFLO
posted2021/07/29 17:03
戦力が揃い、3連勝で決勝トーナメントへ。順風満帆だからこそ、再び気を引き締めて準々決勝以降の戦いに臨んでもらいたい
問われるのはチームとしての総合力であり、主力をいかに休ませるかがポイントになる。
レギュラーメンバーを温存する数少ない機会が、グループステージの第3戦だ。実際、2018年ロシアW杯で西野朗監督は大迫勇也、香川真司、長谷部誠、原口元気、乾貴士、昌子源の6人をベンチスタートにしている。
3人の入れ替え、森保監督が考えたこと
しかし、森保一監督はもう少し慎重だった。
「メキシコ戦から3人のメンバーを入れ替えましたが、先発を3人入れ替えると、これまでの流れがうまく継続できず、我々が思っていないような内容や結果になる可能性があるなか、3人は誰が入ってもチーム力が変わらないこと、しっかり結果を出せることを、パフォーマンスと結果をもって示してくれた」
第2戦までの流れを維持するには、3人の変更がギリギリのラインと考えたようだ。
こうして日本はメキシコ戦のスタメンから、板倉を冨安に、相馬勇紀を旗手怜央に、林大地を上田綺世に変更してフランス戦に臨んだ。
もっとも、ロシアW杯と今大会には大きな違いがある。交代枠が3人から5人に増えたため、早い段階で試合を決めることができれば、フィールドプレーヤーの半分は途中で休ませることができる――。
かくしてゲームは、日本の思惑どおりに進んだ。
久保、酒井のゴールを呼び込んだ上田を讃えたい
27分に久保建英の3試合連続ゴールで先制すると、34分には右サイドバックの酒井宏樹が追加点を奪う。
こぼれ球に反応してしっかり叩きつけた久保のシュートの正確性と、ゴール前まで攻め上がり、落下してくるボールをダイレクトで決めた酒井のセンスは見事だが、同じくらい讃えたいのが、いずれの場面でもGKを強襲するシュートを放った上田である。
すべての動きがシュートを打つことから逆算されていて、シュートに持ち込む動きに無駄がない。本人は「得点は取れていないので、満足感は得られない」と話したが、20分に左サイドからのクロスをシュートに持ち込んだ場面も含め、上田のゴールへの貪欲さがチームに流れを引き寄せたのは明らかだ。
2点のリードで迎えた後半、森保監督はふたつの重要なミッションにトライする。
主力を休ませることと、追加点を奪ってゲームを終わらせること――。