Jをめぐる冒険BACK NUMBER
冨安健洋や上田綺世が復帰、主力を休ませつつ“交代枠”も大活躍で3連勝… “順調すぎる一抹の不安”をねじ伏せろ〈五輪サッカー〉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byYohei Osada/AFLO
posted2021/07/29 17:03
戦力が揃い、3連勝で決勝トーナメントへ。順風満帆だからこそ、再び気を引き締めて準々決勝以降の戦いに臨んでもらいたい
主力を休ませつつ、ポリバレントさが出た交代策とは
ハーフタイムに久保を休ませ、三好康児を投入すると、ここから淀みなく交代のカードを切っていく。
55分には次戦出場停止の酒井に代えて、今大会初出場となる橋岡大樹を右サイドバックへ。72分にはフル出場が続くボランチの遠藤航に代えて、1、2戦はセンターバックを務めた板倉をボランチに、堂安律に代えて相馬を右サイドハーフに送り出す。
そして、最後の選手交代は、指揮官が重視する"ポリバレントさ"が発揮されたものだった。
80分、連続フル出場中だったボランチの田中碧に代えて前田大然を左サイドハーフに投入すると、左サイドハーフの旗手が左サイドバックへ、左サイドバックの中山雄太がボランチへ、鮮やかなポジション移動を見せるのだ。
そのうえで、途中出場の三好と前田がゴールを決めて、4-0とフランスを突き放す。メキシコ戦で突きつけられた課題――リードした状態で時間をどう使い、ダメ押しゴールをどう奪うのか、への答えも出した。三好が安堵の様子で振り返る。
「1試合目の南アフリカ戦でも自分にチャンスはあった。そこで決めるか決めないかで、チームを助けられるかどうかが決まってくる。そこが自分に求められているところだと思うし、まずはひとつ証明できて、自分にとって自信になる1点」
理想的な3戦全勝、一抹の不安を挙げるなら
グループステージでの3戦全勝は日本だけ。理想的な内容で勝ち上がったうえ、準々決勝の相手は、他のライバル国と比べてチーム力が劣ると見られるニュージーランド。
しかし、だからこそ、一抹の不安もよぎる。
日本代表は素晴らしい内容でグループステージを突破したときに限って、決勝トーナメントの初戦で敗退する傾向があるからだ。