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名人・藤井聡太“AI超え終盤力”発動に騒然「どれだけ研究してるのか」序中盤も強烈なのに…「超難問・詰将棋解答選手権で異次元の全問正解」

posted2025/04/17 06:00

 
名人・藤井聡太“AI超え終盤力”発動に騒然「どれだけ研究してるのか」序中盤も強烈なのに…「超難問・詰将棋解答選手権で異次元の全問正解」<Number Web> photograph by NumberWeb

名人戦第1局で先勝した藤井聡太名人。詰将棋解答選手権を含めて持ち前の終盤力が“AI超え”の凄まじさを見せている

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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 藤井聡太名人(22=竜王・王位・王座・棋王・王将・棋聖を含めて七冠)に永瀬拓矢九段(32)が挑戦している第83期名人戦七番勝負。第1局は4月9、10日に東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で行われ、藤井は難解な終盤の局面で長手順の詰みで永瀬の玉を仕留めた。両者はALSOK杯第74期王将戦七番勝負でも対戦し、藤井王将が4勝1敗で防衛した。その王将戦で得たもの、引き続いて名人戦への決意、AI(人工知能)の読みを上回る藤井の終盤力などについて、田丸昇九段が解説する(段位・称号は初出以外省略)。

永瀬は「先手番で勝てるか」が大きなポイントに

 藤井名人と永瀬九段は、今年1月~3月の第74期王将戦で戦った感想や成果を含めて、第83期名人戦に臨む決意をインタビューや記者会見などで次のように語っていた。

 藤井「永瀬九段と2日制で初めて指した王将戦は、中終盤で読みのぶつかり合いが顕著に表れ、得るものは多かったです。名人戦では一手一手をより深く考えて、面白い将棋を指していけるように全力を尽くしたい。永世名人の資格(名人を通算5期で取得。藤井は現在2期)を得ると、一世名人(初代大橋宗桂)からの系譜に名を連ねることになります。今後は目指せるようにと、少し意識しています」

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 永瀬「藤井名人と王将戦で2日制対局を重ねて、レベルアップできました。2日間も没頭して盤上で対話したことで、生物的に強くなった感じです。藤井名人は番勝負をトーナメントと思って指していて、私も同じ気構えでないと1勝するのも難しいです。持ち時間が最長の9時間である名人戦では全身全霊で戦い、1局でも多く指せればと思っています」

 なお3月上旬に行われた王将戦第5局以来、藤井は対局がなかった。永瀬は5局あり、名人戦第1局まで4連勝していた。

 藤井名人と永瀬九段の公式戦の対戦成績は、名人戦第1局を迎えるまで藤井22勝、永瀬8勝。そのうちタイトル戦は藤井の13勝3敗だが、藤井はいずれも先手番で敗れている。永瀬は本来は有利とされる先手番で勝つことが、名人戦の勝負を左右する大きなポイントと目される。

2手目は王将戦で話題になった△3四歩ではなく

 毎日新聞社と朝日新聞社が共催する名人戦七番勝負は2008年から、ホテル椿山荘東京の料亭「錦水」の和室がずっと対局室になっている。2015年の名人戦(羽生善治名人ー行方尚史八段)第1局で、当時六段の永瀬は控室で検討に加わり、終局後は対局室で感想戦を見守ったという。今年の名人戦では、対局者として10年ぶりに対局室に入った。当然ながら重みがまったく違う。

【次ページ】 どれだけ研究しているのか…さらに驚きは終盤だった

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