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内田篤人に“イジられた”相馬勇紀は東京五輪への情熱が筋金入り… “高校2年生での東京国体から2021年の肉体改造”までブレなかった覚悟
posted2021/07/28 11:05
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Takuya Kaneko/JMPA
テレビ中継のインタビュアーを務める元日本代表の内田篤人から衝撃的なコメントが飛び出したのは、2-1と勝利した7月25日のメキシコ戦後のことである。
2019年8月から約4カ月間、鹿島アントラーズでチームメイトだった相馬勇紀があいさつに来ると、内田はテレビカメラの前で「ドラミちゃんと名付けていた」と明かしたのだ。
思わぬところで暴露され、相馬が苦笑したのも無理はない。このパワーワードはSNSを中心に瞬く間に話題になった。
今大会で初めて相馬を知った人に対しては、少し説明が必要だろう。
今では精悍な顔つき・身体つきだが、当時の相馬はスピードと突破力を武器とするプレースタイルとは裏腹に、ぽっちゃりとした体型だったのだ。加えて鹿島の練習着が黄色だったし、愛くるしい童顔でもあるから、内田に黄色の猫型ロボットを連想させたのかもしれない。
肉体改造で「去年の最後から6キロくらい落ちた」
そんな相馬が肉体改造に取り組んだのは、2021年プレシーズンのことである。
「(2020年は)プロ2年目というのもあって相手に研究されて、なかなか思うように仕掛けられなかった。それで今年は自分の中で勝負の年と位置付けて。すべての面、プレー面や身体の面を今オフに見つめ直した結果、今は去年の最後から6キロくらい落ちて、体のキレが出ている状況です」
今年3月末のアルゼンチン戦に向けた取材の中で、相馬はそう明かしていた。
勝負の年というのは、所属する名古屋グランパスでタイトル獲得に貢献するという意味だけでなく、1年延期された東京五輪を視野に入れてのことだろう。
すべての代表選手が東京五輪に懸ける思いを明かしているし、選手個々の思いに優劣をつけるつもりはないが、相馬のそれは筋金入りだ。