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侍ジャパン強化試合で分かった、投手陣の“ただ1つの不安”… 打線は“大谷翔平のように”動く球とSSK社製ボールに対応できるか
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2021/07/26 17:05
初戦のドミニカ戦で先発予定の山本由伸
今大会ではWBSC(世界野球ソフトボール連盟)の公認球となるSSK社製のボールを使う。このSSK社製のボールはメジャー球ほど滑らず、表面の革のなめし具合や感触は日本の公式球のミズノ社製のボールに近い。その一方で縫い目の山が低く、握った感じが少し小さく、また重さも軽く感じるというのが選手たちの感想だ。
「持ってみて投げている感じが全然違うし、変化量も違うように感じます。フォークを外野まで飛ばされたり、空振りが少なかったりした」と実戦でこのボールを投げた山本は、改めてボールへの適応を課題に挙げている。
ただ日本が優勝した2019年の「プレミア12」でもこのボールを使用したが、実戦ではボールの違いがクローズアップされることはなかった。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で使うローリングス社製のボールほどに極端な感触の変化がピッチングを左右することもなさそうである。
田中将大もほぼ完璧な内容だった
ボールの感触を課題に挙げた山本も楽天戦で2回を投げて危なげない投球内容を披露。森下も同じ試合で2回1失点したが、内容的には問題なく、順調な仕上がりを見せている。
シーズン中の状態がもう一つだった田中も巨人戦で先発して2回3分の2、打者9人に1安打2奪三振とほぼ完璧な内容だった。
「打者に捉えられていたので、そういうところがいまいちかなと思います」
田中本人は投球内容にまだまだ満足はしていないようだったが、メジャーのポストシーズンも経験しているベテランだけに、こういう大会での戦い方は熟知している。
「もちろん本戦に入ってからは結果が重要なので、どんな形であれ、今日のような結果であれば良かったと思います。ただ今日はそういうことを主に置いて投げたわけではないので、そういう部分では不満ですね」
ノックアウトステージ初戦を田中で順調に勝てば、次はもう準決勝、決勝で1、2戦に先発した山本、森下がスタンバイする。
一方、オープニングラウンドを2、3位で通過すると、2位同士の勝者と3位同士の勝者で行う準々決勝が1試合増えてそこに先発するのが大野雄大(中日)となる。