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侍ジャパン強化試合で分かった、投手陣の“ただ1つの不安”… 打線は“大谷翔平のように”動く球とSSK社製ボールに対応できるか
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2021/07/26 17:05
初戦のドミニカ戦で先発予定の山本由伸
先発とリリーフ両方での起用が考えられるルーキー
ノックアウトステージでは敗者復活を含めた複雑な勝ち上がり制度が採用され、最大では5連戦を戦うことになる。そのハードスケジュールを考えると収穫だったのが、状況次第で先発とリリーフの両方で起用が考えられるルーキー・伊藤大海(日本ハム)の存在だ。
追加で招集された伊藤はレギュラーシーズンでは基本的に先発起用されているが、巨人戦の3回2死というリリーフシチュエーションで登板。巨人の1番・松原聖弥を空振り三振に仕留めると、次の回も四球の走者を出したものの併殺で切り抜けて無失点投球を見せた。
MAX152kmの真っ直ぐにスライダー、スプリット、チェンジアップと変化球のキレもあり、先発、第2先発的な起用も含めたリリーフと、青柳晃洋(阪神)と共にユーテリティー投手として活用できるメドがたった。
投手陣で1つだけ不安が残っている
山崎康晃(DeNA)に左の岩崎優(阪神)から平良海馬(西武)、栗林良吏(広島)と繋ぐリリーフ陣も安定の仕上がりを見せ、ほぼ万全の投手陣だが、1つだけ不安を残しているのが本来なら先発の軸になるはずの千賀滉大(ソフトバンク)の状態だ。
楽天戦の4番手として登板した千賀は、いきなり159kmを記録したものの2イニング目には3安打と2つの四球で2失点というらしからぬ投球内容。いいボールもあるが、コースが甘く本来のキレから程遠いボールもあり、まだまだ仕上がり状態は60%程度という状況に見えた。
「自分の現状がすごく把握できたし、良くも悪くも、自分のことが改めて分かったのが大きいかなと思います。ぐちゃぐちゃなところもありましたけど、そんな中でも今の自分の生かし方があるなとわかりました」
本人がこう語るように、現状では先発での起用は難しい。ここから決勝まではまだ10日以上の時間がある日程だけに、実戦の中でどこまで状態を上げられるかの勝負となりそうだ。
【攻撃陣】
直前合宿の最大の問題は稲葉監督も「攻撃の軸となる選手」と指名していた柳田悠岐(ソフトバンク)のコンディションだった。