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100m日本記録ランナーがプロ野球に転向したら…盗塁はいくつできた? 五輪銀メダリストが語る「50m走と100m走の決定的な差」 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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posted2021/07/09 17:05

100m日本記録ランナーがプロ野球に転向したら…盗塁はいくつできた? 五輪銀メダリストが語る「50m走と100m走の決定的な差」<Number Web> photograph by JMPA

08年北京五輪の男子4×100mリレー。3走の髙平慎士からアンカーの朝原宣治にバトンパス。

「例えば、勉強で分からないことがあったら頭が良い子に解き方などを聞きますよね? 彼らは出された問題をただ単に解くだけではなく、出題する側にも回れる。そこまでできて理解できたと言える。

 それって、学業だけでなく、競技にも共通していると思います。練習をやらされるのではなくて、なぜコーチや顧問がこの課題を出したのかを考えることが大切で、なぜこのトレーニングをすれば速くなれるのか、自分でちゃんと理解しなければ、速くはなれないと考えるようになりました」

 高平さんが日本のトップスプリンターに駆け上がっていったことと、走ることを言語化することとは、あながち無関係ではなかったのだろう。

「複数回五輪に出ないと、メダルは取れないな」

 高平さんは、2004年アテネ、08年北京、12年ロンドンと3大会連続でオリンピックに出場しているが、オリンピックへの臨み方についても独自の考えがあった。

「競技人生をどう思い描くかは大事なことで、僕の場合、長く競技を続けないと、オリンピックのメダルは取れないと思ってました。

 勢いや運がある人であれば、一発勝負の一発でメダルを勝ち取ることができるかもしれませんが、僕の場合は、自分のアスリートタイプ的にそれは難しいと感じていた。だから調子の波を大きく作って一発を狙いにいくというより、複数回オリンピックに出場してトライの回数を増やし、アベレージを高く保つことで、メダルのチャンスが見えてくると考えたんです。

 もちろん、4年に一度のオリンピックに出ること自体、簡単なことではありません。そもそも、一生に一度のチャンスかもしれないオリンピックの舞台を、次の五輪のための経験の場などとは言っていられません。それを理解した上で、複数回オリンピックに出場する戦略を練らなきゃいけないなと考えました」

 北京五輪でリレーのメンバーとして念願の銀メダルを獲得できたのは、思い描いていた未来図に対してアプローチの方法を考えて、取り組んできた成果でもあった。

 自分の中に明確なビジョンを持っていた高平さんであっても、オリンピックの決勝は、他のレースとは全く違うものだったという。

「やっぱりオリンピックの決勝の舞台は、何か違う景色が見えるというか、特別なレースでした。その中で走る高揚感とか緊張感とかプレッシャーは、自分の競技人生においても他のレースとは比較にならないもの。今回の東京五輪は自国開催ですから、さらにプレッシャーが大きくなりそうで、僕にも想像がつきません」

 まして金メダルを期待される者の胸の内はいかほどだろうか……。それは今夏、その舞台に立つ4人にしか分からないものなのだろう。

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