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「マラソンにドラマなんて必要ないんだ」大迫傑(30歳)に“2カ月密着トレ”した新世代ランナーが痛感したこと

posted2021/07/08 17:03

 
「マラソンにドラマなんて必要ないんだ」大迫傑(30歳)に“2カ月密着トレ”した新世代ランナーが痛感したこと<Number Web> photograph by Shota Matsumoto

アリゾナ州フラッグスタッフでの大迫傑の合宿に参加した吉田祐也(左)。右は大迫の練習パートナー、川崎友輝

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Shota Matsumoto

 昨年12月の福岡国際マラソンを制した吉田祐也(24歳、GMOインターネットグループ)が、4月27日から6月18日まで、アメリカはアリゾナ州のフラッグスタッフで高地合宿を行った。

 一緒に練習を積んだのは……大迫傑(30歳)である。

 オリンピック代表の大迫と合宿生活をおくることになった経緯を吉田はこう話す。

「福岡国際で勝った後、共通の知り合いを通じて、大迫さんと一緒に食事をしました。話してみたら、ランニングに対する論理、思いや感情、迫力などすべてに凄まじいものがありました。自分自身、マラソンで勝って自信をつけていたところでしたが、マラソンの本質を突きつけられた感じで、自分の浅はかさを悟りましたね」

 その席をきっかけに、海外で合同合宿をしてみようかというアイデアが生まれた。所属するGMOインターネットグループも発足から6年目を迎える。花田勝彦監督、マネージメントスタッフも検討を重ね、「狭いコミュニティの中で完結していては、発展性も見込めない」ということになり、吉田と大迫の合宿が実現する運びとなった。

 当初はケニアが合宿候補地だったが、コロナ禍で状況が不透明なこともあり、標高2100m地点にあるフラッグスタッフが拠点となった。

「僕と大迫さんとでは格が違います」

 ひと月半、大迫と一緒に練習してみて、大迫はどんなランナーに映ったのか? 吉田は端的に表現した。

「メチャクチャ強いです。今回、大迫さんがメダルを取れないようだったら、日本人にメダルを取るのは不可能なんじゃないか? そう思えるほどの練習の質と量、強さです」

 2時間7分5秒という好タイムで福岡国際を制した吉田。学生時代は青山学院大で原晋監督から止められるまでジョグを続け、現在はGMOの中でも随一の練習量を誇るという彼の目から見ても、それほど大迫との距離があるのだろうか?

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