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RIZIN.28、那須川天心の「1vs3」マッチは“企画もの”か“大ピンチ”か? 東京ドームで朝倉海、朝倉未来を待つ試練とは 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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posted2021/06/12 17:02

RIZIN.28、那須川天心の「1vs3」マッチは“企画もの”か“大ピンチ”か? 東京ドームで朝倉海、朝倉未来を待つ試練とは<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

那須川天心はRIZIN東京ドーム大会でこれまでとは異なる闘いに挑むことになる

「寝技の技術で劣っているとは思わない」

 6.13ドームで対戦するのは渡部修斗。総合格闘技の老舗である修斗(シューティング)の初代チャンピオン・渡部優一の息子で、名前も父が人生をささげた格闘技から。勝ち星の半分以上が一本勝ちのグラップラータイプだ。得意技は「分かっていても極まる」ことから名付けられたマジカルチョーク。

 そんな相手に対し「相手が無理やりタックルで入ってきたり寝技の展開になったら思い切り(寝技で)いきます」と海。ストライカーのイメージが強いが「寝技の技術で劣っているとは思わない」と言う。

 MMAにおいてはパンチ、蹴りにタックルを“混ぜ”たり、寝技の攻防で引かないことが相手へのプレッシャーとなり、打撃戦を優位に導くこともある。そうしたトータルな闘いぶりが、海にとって今回のテーマ。本人は「(ファイトスタイルが)創造的になっている」と語った。それは世界を相手に闘うために必須のものでもある。

朝倉未来はキャリア最強とも言える難敵に

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 海の兄、朝倉未来にも正念場と言えるカードが組まれた。昨年11月のフェザー級王座決定戦で斎藤裕に敗れたものの、大晦日にはKO勝ち。ここでさらに勢いをつけたいところだが、キャリア最強とも言える難敵を迎えることになった。静岡在住の日系ブラジル人、クレベル・コイケだ。

 ブラジリアン柔術で活躍するとMMAへ。海外の大会でも結果を残した。RIZINでは2戦2勝、どちらも一本勝ち。27勝のうち23がサブミッションによるフィニッシュという圧倒的な“極め”の強さを誇る。

「驚異のフィニッシュ率を持つ危険な相手」

 カード発表会見で、未来はクレベルをそう評している。公開練習では「日本の最高峰の闘い」とも。対戦相手を徹底的に研究することでも知られる未来は、5月下旬の時点でクレベルの過去の試合映像を「もう1000回くらい」見たそうだ。SNSでは「人生最大に追い込んだ」という言葉もあり、この試合にかける思いが伝わってくる。

 この大会は5月23日に予定されていたが、緊急事態宣言の影響で延期となった。未来の出場は、そのプラス作用だ。準備期間が取れたことで出場可能になったのである。また一昨年のライト級GP優勝者であるトフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)が来日可能となり、クレベルの同門ホベルト・サトシ・ソウザと同級王座決定戦を行なう。ムサエフとともに来日したヴガール・ケラモフはフェザー級王者の斎藤裕と対戦。RIZIN初の、そして格闘技界として18年ぶりの東京ドーム大会に向け、主催者は現状でできる最高級の“勝負カード”を切ってきた。

【次ページ】 那須川天心が挑む異例の1vs.3マッチは鬼門

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