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RIZIN.28、那須川天心の「1vs3」マッチは“企画もの”か“大ピンチ”か? 東京ドームで朝倉海、朝倉未来を待つ試練とは
posted2021/06/12 17:02
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
昨年から、日本の格闘技界ではリスクの大きいシビアなマッチメイクが増えている。
原因はコロナ禍だ。期間によって違いはあるが外国人選手の来日が難しい状況が続いている。1試合のために来日した選手、セコンドが2週間の自主隔離期間を取るというのは、よほどのビッグプロモーションでなければ不可能だ。
必然的に試合は日本在住の選手同士の対戦となる。これまでなら、チャンピオンベルトを巻いた選手は海外の選手と対戦することが多かったのだが、そうはいかなくなったのだ。
外国人選手との試合には“挑戦”という雰囲気があるが、日本勢同士だと“潰し合い”という色が出てくる。試合の結果によって「○○より××のほうが強い」という“序列”が強烈に印象づけられる。だからシビアでリスキーなのだ。
各団体のトップファイターが国内に相手を求める状況。それは団体の枠を超えた強豪対決が実現しやすいということだ。立ち技格闘技イベントRISEでは、昨年秋に出場選手の多くがタイトルホルダーという女子トーナメントを成功させた。7月から始まる男子53kgトーナメントも、他団体や上の階級で実績を挙げた選手たちの出場で話題になっている。
朝倉海は堀口戦で下がった評価を挽回できるか
RIZINは、コロナ禍以前から“バクチ”的な試合を組んできた。たとえば一昨年8月、上り調子の朝倉海を堀口恭司にぶつけると格闘技史上に残るアップセットに。そんなRIZINイズムに、今は拍車がかかっていると言っていい。
6月13日の東京ドーム大会では、バンタム級ジャパンGPがスタートする。決勝戦は恒例の大晦日大会。「コロナ禍の中で何を見せていくか模索する中で、ジャパンGP開催を決めました」と榊原信行CEOは言う。
トーナメントの軸になるのは、同級の前王者である朝倉海だ。昨年大晦日に堀口にベルトを奪われ、今回が再起戦でもある。このトーナメントには堀口が出場せず「確実に優勝しなきゃいけない」と海。海外で闘いたいという気持ちもあったが、堀口戦で下がった評価を挽回するためにもとGP出場を決めた。