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【RIZIN】「芸人の仕事はゼロ」でも「強ければ話が来た」異色の格闘家、ベイノアは“圧倒的不利予想”を覆せるか
posted2021/06/12 17:01
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Susumu Nagao
「腹は括りました。そうでなければ、今日の会見にも出席できなかったでしょう」
6月1日、都内で開催されたRIZINの記者会見。弥益ドミネーター聡志とMMA(総合格闘技)ルールで闘うことになった“ブラックパンサー”ベイノアは力強くそう宣言した。
「ここまで来たら、なるようにしかならない。深く考えてもしょうがないですよ」
ベイノアはいくつもの顔を持つ、ちょっと変わった格闘家だ。格闘技のベースは幼少の頃から打ち込む極真空手。2018年には全日本ウェイト制空手道選手権・軽量級で優勝した実績を持つ。
その一方でベイノアはキックボクサーとしても活動中。現在は来年プロボクシングへの転向を表明した“神童”那須川天心が主戦場とするRISEの第2代ウェルター級王者に君臨する。それだけではない。空手衣やキックボクシングのトランクスを脱げば、お笑い芸人「けとるべる」のボケを担当している。
「最近は相方が元気かどうかもよくわからない」
とはいえ、お笑い芸人としての需要はサッパリ。新型コロナの影響もあるのか、ベイノアは「今年になってから芸人としての仕事はゼロ」と打ち明ける。「格闘技の方は強ければ実際にこういう大きな話が来た。お笑いの方も『面白ければ、話は来る』ということなんでしょうね(苦笑)」
お笑いでコンビを組む相方にRIZIN参戦を事前に伝えることもなかった。
「たぶんニュースを見て驚いていると思う。最近は向こうが元気かどうかもよくわからないんですけどね」
お笑い芸人として鍛えたトーク力を活かし、RISEでは呼び込みなどのアナウンスをすることも。今年になってからは一度直前になってその仕事をキャンセル。関係者は「コロナに感染したか?」と心配したが、全ては杞憂に終わった。近所のパン屋で購入したパンで食中毒となりトイレから動けなくなっただけだったのだ。欠場するとしても単なる欠場には終わらせない。ベイノアはオチを残してくれた。