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「ホームラン9本」は18年ぶりの低調だった…“投超打高”春の甲子園で見つけた高校生ショート「2人の逸材」
posted2021/04/09 18:10
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
KYODO
初めての本塁打が甲子園の外野スタンドに飛び込んだのが、大会第5日だった。その後、センバツで生まれた本塁打はランニング本塁打を含めて9本。本塁打数が一ケタだったのは、18年ぶりのこと。これは例を見ないほどの「投手」のレベルの高さによるものだ。
かれこれ40年以上、センバツを見ているが、こんなに個性豊かで優秀な投手たちが出揃ったセンバツは、記憶を何度確かめても、なかなか思い出せない。
決して「投高打低」ではない。
優秀な打者だって何人も出場しているが、時期的にまだ試合慣れしていないのと、振り込み不足もあって、投手のレベルに追いついていけない……というのが、実情であろう。
140キロ前後のパワーを持った本格派が、一方でカーブ、スライダーで簡単にカウントを奪える技術も兼備している……そんなプロ顔負けみたいな投手が10人以上もいるのだから、打者にとっては始末が悪い。
「投超打高」。こちらのほうが、実情にうんと近いはずだ。
「超重量級大型打線」のなかの小柄な2年生
バッティングが光る野手がなかなか現れない代わりに、ディフェンス、フィールディングなら、プロ顔負けの遊撃手を2人見つけた。この“逸材”たちをお伝えしないわけにはいけない。
正直な話、東海大相模・大塚瑠晏遊撃手(3年・168cm68kg・右投左打)がこんなに上手い「ショートストップ」だったという実感が今までなかったのは、昨年のチームの「超重量級大型打線」のほうに目を奪われていたからだ。