魁皇の大相撲ボヤキ解説BACK NUMBER

「大の里は勝ち方が圧巻でも、負け方がひどい」元大関・魁皇が本音で語る“荒れる春場所”「(また優勝逃した)高安、まだイケるから!」

posted2025/03/28 11:05

 
「大の里は勝ち方が圧巻でも、負け方がひどい」元大関・魁皇が本音で語る“荒れる春場所”「(また優勝逃した)高安、まだイケるから!」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

大相撲3月場所、優勝決定戦で高安(左)を破った大の里(24歳)。自身3度目の優勝を果たした

text by

浅香山博之

浅香山博之Asakayama Hiroyuki

PROFILE

photograph by

JIJI PRESS

元大関・魁皇、浅香山親方が解説する春場所。「周りとの力の差があり過ぎるんです」3度目の優勝を果たした大関・大の里(24歳)への本音とは?【全2回の前編/後編も公開中】

◆◆◆

 “荒れる春場所”と言われる三月の大阪場所が幕を閉じました。

 千秋楽は大関大の里と前頭4枚目の元大関髙安との優勝決定戦となりましたね。13日目の時点では単独トップだった髙安でしたが、14日目、今場所の元気者だった前頭14枚目の美ノ海戦で負けてしまったのが、まずは痛かった。どこか消極的な相撲で引いてしまい、寄り切られてしまいました。ここで勝てていたら、流れも髙安が優勢だったんですけれど、この一戦を落としてしまったのが大きかった。今まで3回の優勝決定戦を経験し、そのすべてに勝てず、今回で優勝を逃した“優勝次点”が9度目だと言われています。ことごとくチャンスを掴めない原因はなんなのだろうか? とみなさんも思うところでしょう。

ADVERTISEMENT

 たとえば、相撲という競技は内容が悪くても白星を拾えることがある。「勝負運がある」と言いますかね。哀しいかな、髙安にはその勝負運がついていない感じがします。「ここ一番に強い」「幸運にも勝星を拾った」ということがあまりないのではないかな。それこそ、「ここ一番に強い」と言われている横綱豊昇龍と真逆です。今までも髙安は「今場所こそはイケるんじゃないか?」と期待された場所が何度もあり、結局は後半に崩れてしまうことが多かった。でも、今場所は最後まで優勝争いに持っていけていたわけだし、今さら成長――とは言いませんね、35歳のベテランですから――そう、「進歩」はしているんです。ここ1年間でも2回、優勝争いに関わったし、決して力は落ちているわけではないのです。

「旭天鵬は37歳で初優勝したでしょ?」

 返す返すも美ノ海戦が惜しかった。プレッシャーにつぶされたわけではないと思うし、千秋楽の本割で、かつて優勝決定戦で負けたことのある阿炎に勝ち、この時点ではまだ流れは髙安にあるな、と見ていたんです。大の里が大関琴櫻に勝って優勝決定戦に持ち込み、大の里はこの二番とも会心の相撲でした。大の里が本割で勝った勢いのままに、完全に大の里の流れにしてしまったんですよね。髙安も一度は自分の形に持っていけていたのに……。一回でも優勝経験があれば、また変わってくるんだけれど、その一回がなかなかねぇ……。

【次ページ】 「旭天鵬は37歳で初優勝したでしょ?」

1 2 NEXT
#大の里
#髙安
#魁皇
#浅香山親方
#王鵬
#美ノ海
#安青錦
#琴櫻
#遠藤

相撲の前後の記事

ページトップ