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魁皇の大相撲ボヤキ解説BACK NUMBER
「同情されるような相撲を取るのはよくない」元大関・魁皇が“ケガの力士”を疑問視「昭和の時代は“ケガは土俵で直せ”が常識だった」
posted2025/03/28 11:06

2001年7月場所、魁皇(右)は武蔵丸を上手投げで破り、3度目の優勝を決める
text by

浅香山博之Asakayama Hiroyuki
photograph by
JIJI PRESS
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「ああいうタイプは不得意で大嫌いでしたよ(笑)」
新関脇だった王鵬。13日目の大の里戦は良かったですが、先場所と比べたら気迫がちょっと感じられませんでした。何か原因があったのかもしれないけれど、僕も経験があるんです。特に体調が悪いわけでもなく、稽古も毎日やっているんだけど、どこか歯車が合わないような、しっくり来ない日がある。ダメな時は、それこそ稽古でもなかなか勝てない。それがそのまま本場所の土俵に出てしまって――稽古と違ってもう一丁はないし、たった一番の勝負ですからね。先場所はすごく良かったし、決してまぐれで関脇になったわけではない。結局は「気持ちの持って行き方」なんです。じゅうぶん稽古を重ねていたら、あとはもう気持ちしかないんですよ。言葉にすると簡単に聞こえますが、これがなかなか難しいものなのです。
11勝して初の敢闘賞を受賞した美ノ海が元気でしたね。立ち合い当たってからの動きが良いんです。次の場所も今のような相撲を取ってくれたら面白い存在になりますよ。
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新入幕で11勝した前頭15枚目の安青錦も、これからの上位にとっては脅威になる存在です。
頭を付けて低く当たって来て、なかなか起こせない。現役時代の僕は、ああいうタイプは不得意で大嫌いでしたよ(笑)。足腰もいいし、あの低さで当たってこられると、相手はどうしても引きたくなってしまう。そこで中に入られて持っていかれてしまうんですよねぇ。僕だったらどう戦うかって、引っ張りこんでどうにか体を起こして、つかまえるしかないかな。安青錦はまだまだこれからぐんぐん伸びますよ。技もいろいろ持っているし、彼はこれから大注目です。師匠も厳しいし、このまま稽古を積んでいけばいいところまで行きますよ。同じ一門ですから、うちの部屋にもよく出稽古に来ていて、どんどん力が付いていくのがわかるんです。うちの部屋の弟子たちにも、「海外からひとり日本に来て、強くなるために必死で、ひたすら相撲中心の生活を送り、頑張っているんだぞ」と、彼の姿を手本にしてほしいと話すくらいです。せっかくいいものを持っている若い子たちもたくさんいるんですから、彼を見習ってほしいものです。
「同情されるような相撲はよくない」
大関琴櫻は8勝7敗でカド番を脱出しましたが、膝にテーピングをしていてどこか悪かったのでしょうか。