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【黒田を超える?】田中将大は日本で再び結果を出せるか  NPB復帰1年目で2ケタ勝利の先発は4人だけ 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHideki Sugiyama

posted2021/01/29 11:04

【黒田を超える?】田中将大は日本で再び結果を出せるか  NPB復帰1年目で2ケタ勝利の先発は4人だけ<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

楽天復帰が決まった田中将大。広島時代の黒田博樹のような存在感を見せるか

 今年で33歳という年齢は、MLBではベテランの域である。右ひじのこともあり、田中の「今後の可能性」に疑問符がついているのだろう。

 とはいえ、MLBの一線級で活躍している投手が、こういう形でNPBに復帰するのはまさに異例だ。

日本のマウンド、ボール、登板間隔の違い

 普通に考えれば、「レベルの高いMLBで活躍してきたのだから、NPBではそれ以上に活躍して当たり前」と見られがちだが、そうとは断言できない要素がいくつかある。

 1つはマウンドとボールの問題。NPBからMLBに挑戦する選手は、日本の球場よりも固くて急角度とされるMLBのマウンドに戸惑う。また一回り大きくて縫い目が低く表面がつるつるしたアメリカの硬式球に手こずる。特に微妙な手先の感覚が必要な変化球を投げる際は大きな違和感を持つという。

 田中も2014年のMLB挑戦以来、日米のこの大きなギャップに戸惑い、それを克服してきた。しかし楽天復帰にあたっては、真逆の環境変化に直面しなければならない。ベテラン投手にとってそれは簡単な話ではないだろう。

 もう1つは登板間隔の問題である。MLBでは先発投手は5人で中4~5日のローテーションを組んでいく。しかしNPBでは先発は6人で中6日でローテを組む。簡単に言えばNPBの先発投手は週に1回しか投げない。登板間隔が開くのは、投手にとって負担が軽減されると思われがちだが、先発投手はしっかりしたルーティンワークで次回の登板に備える。登板間隔が変われば、そのルーティンも変えなければならない。

NPB復帰後、1年目で2ケタ勝利したのは4人だけ

 ヤンキース入団当初は100~110球を投げていた田中だが、2020年は最多で95球。多くは90球前後で降板している。登板間隔に加え投球数も大きな問題ではあろう。

 これまでもMLBに挑戦した投手の多くがNPBに復帰したが、その大部分はMLBで通用しなかったか、力が衰えてオファーがなくなったケースだ。NPBに復帰しても十分な成績を挙げられなかったケースが多い。

 特に先発投手はNPBに復帰してから活躍した例は極めてまれだ。先発投手でNPB復帰後、1年目で2ケタ勝利を挙げたのは以下の4例しかない。

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