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【黒田を超える?】田中将大は日本で再び結果を出せるか  NPB復帰1年目で2ケタ勝利の先発は4人だけ

posted2021/01/29 11:04

 
【黒田を超える?】田中将大は日本で再び結果を出せるか  NPB復帰1年目で2ケタ勝利の先発は4人だけ<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

楽天復帰が決まった田中将大。広島時代の黒田博樹のような存在感を見せるか

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Hideki Sugiyama

 田中将大の楽天復帰はまさに電撃的で、ショッキングでさえあった。田中はニューヨーク・ヤンキース在籍の7年で78勝46敗、防御率3.74の記録を残している。十分に成功者と言える実績を残してきたのだ。

 田中は2019年までデビューから6年連続で2ケタ勝利。これは日本人最長、田中がデビューした2014年から2019年までのMLBでの通算勝利数も、MLB全体の14位に位置している。

 2020年はシーズン前キャンプで頭部に打球を受けたアクシデントもあって出遅れ3勝3敗だったが、防御率は3.56、チームの試合数が60試合しかない中で決して悪い成績ではなかった。

ヤンキース田中は「イニングイーター」だった

 ヤンキースでの田中は圧倒的に打者を圧倒するタイプではないが、多少失点しても試合を作って責任投球回を全うする。いわゆる「イニングイーター」の典型だった。

 そして2014、2019年にはオールスターにも選出されている。選手がよく入れ替わるMLBにあって田中はヤンキースの「顔」の1人といっても良かった。2020年も32歳を迎えるシーズンだったが、円熟味を増すことこそあれ、衰えを見せることはなかった。

 ただし昨年は7年の契約満了期だった。通常このレベルのFA選手には契約延長や、他球団のオファーが複数あるはずだが、今季は状況が全く違った。

 昨年のMLBは、1球団当たり60試合しかできなかった。しかもポストシーズンの一部を除いて無観客試合である。放映権収入は辛うじて確保したものの入場料収入、グッズ収入などは激減し、MLB球団は軒並み大幅な赤字に転落した。MLB選手会はオーナーとの折衝で、選手の減俸に同意したが、本格的な労使交渉は妥結していない。

なぜMLBから田中にオファーが来なかったのか

 田中にMLB球団からオファーが来なかった理由はいくつかある。

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