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【黒田を超える?】田中将大は日本で再び結果を出せるか NPB復帰1年目で2ケタ勝利の先発は4人だけ
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/01/29 11:04
楽天復帰が決まった田中将大。広島時代の黒田博樹のような存在感を見せるか
<伊良部秀輝>
2003年 阪神13勝8敗 173回 防御率3.85
<石井一久>
2006年 ヤクルト11勝7敗 177.2回 防御率3.44
<黒田博樹>
2015年 広島11勝8敗 169.2回 防御率2.55
<和田毅>
2016年 ソフトバンク15勝5敗 163回 防御率3.04
田中の成績を占ううえでは――黒田博樹の成績が参考になるだろう。
黒田は前年MLBで2ケタ勝利をマークして(ヤンキースで11勝9敗199回、防御率3.71)、NPBに復帰した唯一の投手だが、広島復帰後も変わらずローテを維持。11勝を挙げた。
黒田も日本復帰に際してはNPBに適応するためにモデルチェンジはしただろうが、彼の編み出した投球術が日米どちらでも通用するレベルのものだったとも見ることができよう。
2013年の「24勝0敗」とは違うスタイルか
田中も黒田同様、制球力と落ちる変化球で安定感のある投球を続けてきた。田中の投球術が今季、NPBでも通用する可能性は大いにある。
ただし渡米前の2013年に田中が見せた24勝0敗212回、防御率1.27という歴史的快投とは、大きく異なるスタイルではあろう。
2年契約とはなったが、2年後でも田中は34歳。MLBへの復帰を目指している可能性はある。そのためにもNPBで好成績を挙げる必要がある。そういう意味でも慣れない環境に素早く適応して、エースとしての数字を残すことは必須だ。「好成績を挙げて当たり前」という期待感がプレッシャーになることも考えられる。
ただ楽天の石井一久監督は、ドジャースで2度2ケタ勝利を挙げ、NPB復帰後も上記のように即2ケタ勝利を挙げた実績がある。田中にとってはこれ以上ないアドバイスができる指揮官と言えるだろう。
新型コロナ禍ではあるが、NPBに新しい楽しみが増えた。田中将大の7年ぶりのマウンドを楽しみに待ちたい。