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【UNIVASって何?】“スポーツ馬鹿”を生むな! 世界王者・村田諒太が大学運動部員に勧める「デュアルキャリア」とは
posted2020/12/20 11:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Getty Images
お正月のスポーツと言えばやっぱり箱根駅伝と大学ラグビーでしょ、という人はきっと少なくない。青山学院大が制した今年の箱根駅伝の平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は往路が27・5%、復路が28・6%と例年どおり“高止まり”で、ラグビー大学選手権準決勝もワールドカップ効果もあってか盛り上がっていた。
人気もあり、歴史もある。
野球も、サッカーも、はたまたアメフトも、大学スポーツにはそれぞれの歴史がある。こういった大学スポーツを全体として見ていこうとする変革が始まっている。2019年3月に、大学・競技横断的に統括していく国内初の組織として、一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS=ユニバス)が誕生。全米大学体育協会(NCAA)を参考にしたスポーツ庁肝いりの組織だと言える。ただ設立から1年半経っても浸透度や知名度は今ひとつ上がっていないようにも感じる。
慶應義塾、明治、筑波、関西学院などは未加盟
加盟は全国から221大学(2020年7月時点)と初年度の目標をクリアしてはいるものの、スポーツの伝統校として知られる慶應義塾、明治、筑波、関西学院などが未加盟のままになっている。UNIVASにいかなる価値があるのかを提示できていないという見方もできる。
そもそも日本の大学スポーツは大学の課外活動として発展してきた流れがあり、大学自体の関与が限られてきた。そのため競技横断的な統括組織を置く大学も少なく、スポーツ庁はスポーツ基本法に基づいて大学内におけるスポーツ分野を統括する大学スポーツアドミニストレーター配置事業を展開してきた。体育部員の学業がおろそかになっていないか、安全対策はどうか、など大学個々で対応しているとは言っても、横断的な統一基準がない。UNIVAS設立にはそういった背景がある。
UNIVASは一体、どんなことに取り組み、何を目指そうとしているのか。放映権ビジネスを含めて年間約1000億円の収益を誇るとされるNCAAをモデルにしてビッグビジネスに向かおうとしているわけではどうもなさそうだ。その点を探ってみることにしたい。