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“卑怯”な救済案? 富の集中と異常給与のプレミア、外国人オーナー乗っ取り回避も…

posted2020/10/22 06:00

 
“卑怯”な救済案? 富の集中と異常給与のプレミア、外国人オーナー乗っ取り回避も…<Number Web> photograph by Getty Images

圧倒的なクオリティーのプレミアリーグだが、“金のなる木”には危うさもはらんでいる

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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開幕から約1カ月経ったヨーロッパ各国リーグ。各クラブの動向を網羅したNumber PLUS「欧州蹴球名鑑2020-21」が10月16日に発売されました。その名鑑に掲載されている注目クラブの記事をNumberWebで公開していきます!

 イングランド代表がウェンブリー・スタジアムでデンマーク代表に敗れた10月14日、国内のトップリーグはアメリカ人オーナー2組による脅威を速攻で蹴散らした。

 プレミアリーグの今季20クラブ代表がリモートで顔を揃えた緊急会議で、リバプールを傘下に持つマサチューセッツ州のフェンウェイ・スポーツグループが、マンチェスター・ユナイテッドを所有する、フロリダ州在住のグレイザー一族と手を組んで密かに画策していた「プロジェクト・ビッグ・ピクチャー(PBP)」に対し、満場一致で「お断り」の返答を突き付けたのだ。

 その直前の週末、首謀者が意図的に行ったとされる草案リークで騒ぎとなったPBPは、1992年にトップリーグとして独立したプレミアリーグはもとより、2~4部に当たるフットボールリーグを含む国内サッカー界上層部の在り方をも変える抜本的な改革案だった。

 ところがPBPの実態は「大局」を意味する名称とは裏腹に、プロ・サッカー界全体としての展望を欠いていた。具体的に言うと、ピラミッドの頂点に君臨するプレミアのなかでも「持てる者」と呼ばれるエリート・クラブ(いわゆる「ビッグ6」)の強欲が透けて見えるアイディアで、「持たざる者」の弱みにつけ込もうとする卑怯な手口だったのだ。

2部の複数クラブは存続が危ぶまれ

 イングランドでは新型コロナウイルスの影響で無観客試合が続いている。クラブ収益におけるチケット売上の割合が多いフットボールリーグでは、多くのクラブが経営難に陥り、チャンピオンシップ(2部)の複数クラブは存続が危ぶまれている。

 一方でプレミア勢は破格の放映権収入と巨額のスポンサー収入に支えられている。経営難クラブへの経済的支援は、今年6月時点では英国政府から、PBPの許可を与える条件として課されていた。

 PBPでは2億5000万ポンド(約338億円)の前払いを含め、プレミア放映権収入からの25%相当額還元がフットボールリーグに約束されることになっていた。

 放映権収入の「25%相当」は少なくとも7億ポンド(約945億円)は見込まれ、一昨季(会計監査済みのものでは最新の数字になる)に初めて全72クラブの収益合計が10億ポンド台に達した2~4部勢にとっては、大幅な収入増を意味する。

【次ページ】 「救済案」のようでいて実は迫害計画

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