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“卑怯”な救済案? 富の集中と異常給与のプレミア、外国人オーナー乗っ取り回避も…
 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2020/10/22 06:00

“卑怯”な救済案? 富の集中と異常給与のプレミア、外国人オーナー乗っ取り回避も…<Number Web> photograph by Getty Images

圧倒的なクオリティーのプレミアリーグだが、“金のなる木”には危うさもはらんでいる

“レスターの奇跡”はもう起きないのか

 今季も、PBPでは投票権を持つ9クラブには数えられないレスターが、開幕早々の3節にマンCから5得点を奪って勝利した。レスターは4年前にプレミア優勝の奇跡を起こしたクラブでもある。しかし、ビッグ6に優しいPBPはイングランド人が欧州他国リーグに抱く「特定のクラブだけが勝つ」といったイメージへプレミアを近づけかねない。

 復帰2年目のアストンビラが、リバプールを相手に7得点を奪い大勝したのは今季4節。プレミア前史の国内トップリーグ勢としては、チェルシーよりも国外で名を知られている古豪は、アーセナル、トッテナム、マンCも持たないCL(当時はヨーロピアン・カップ)優勝歴も誇る。

 外国人オーナーの目には、2部で3シーズンを過ごしたあとの昇格2年目クラブとしか映らないのかもしれない。しかし歴史を重んじるイングランドのサッカー界においては、トップリーグの一員として投票権を持つ資格があると理解される。

降格時の援助金が悪い方向に出る?

 とはいえ、1888年に12クラブによってトップリーグの原型が作られたイングランドのプロ・サッカー界は、PBPに記されていた「ピラミッド構成の経済と管理を改める必要が生じて久しい」という一文を、客観的で妥当な指摘として受け入れるべきではある。

 事実、先の緊急会議においては、富の配分が不十分だったフットボールリーグに対して、特に財政難に喘ぐリーグ1とリーグ2への資金援助として、計5000万ポンド(約68億円)を用意する動きも見られた。

 だがこの程度の規模では、不服とするフットボールリーグ勢から拒否されたとしても仕方はない。提示額のうち3000万ポンドは無利子ではあるが返済は必要なローン扱い。残る2000万ポンドは補助金となるが、プレミア勢の懐は痛まない。昨年と一昨年に降格したフルアムとウェストブロムウィッチのプレミア復帰で、合わせて数千万ポンド台となる両クラブへの「パラシュート・ペイメント」が浮いたためだ。

 降格から最長3年間、プレミアから落ちた経済的ショックを和らげる目的で支払われるこの援助金は、PBPにおいては放映権収入の25%還元に吸収される予定だった。とはいえ、下部リーグでの収益レベル不公平を生むばかりか、降格後3年以内のクラブが援助を当て込んだ補強と結果的な昇格失敗で経営状態を悪化させかねない面がある。

【次ページ】 放映権収入の分配以外にも支援方法はあるはず

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