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部屋が足りなすぎて訴えられるかも…東京オリンピックの「ここが危ない」4つの感染リスク 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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posted2020/09/30 17:01

部屋が足りなすぎて訴えられるかも…東京オリンピックの「ここが危ない」4つの感染リスク<Number Web> photograph by KYODO

東京五輪・パラリンピック組織委員会が公開した選手村の部屋。ベッドは2台、クローゼットは車椅子でも使いやすいよう低く作られている

その4)会場までのシャトルバスは“密になる”

 取材者として過去の五輪で苦痛だったことの一つが、メディアセンターから競技会場までのシャトルバスだ。試合開始の時間にあわせて記者やカメラマンが利用するため、バス乗り場には多くの人が殺到し、ぎゅうぎゅう詰めだった。それは選手用のバスも同様で、選手村から試合会場へのバス停やシャトルバスは密が予想される。

 MLB、NBAともに「バスでは隣の席を空けている」というように、移動のバスも3密を避けるための対策が必要だろう。

 米国の関係者は「シャトルバス専用アプリで、バスの時間と座席を予約する形にしてほしい。そもそも隣に誰かが座るのも物理的距離がとれないので避けたい。予約制にすれば必要なバスの台数も分かるし、予約しなかった選手や関係者は、最後のバスに乗るようにすればいいのではないか」と提案する。

 田島さんは、「NBAでは、隔離されたフロリダの敷地内での様々な情報がCampus App(キャンパス・アプ)で提供されていて、ヘアサロンの予約をはじめ、スタジアムへの経路なども提供されとても便利だった」と話すが、五輪&パラリンピックでもそういったアプリで、選手村内の医療機関、ヘアサロンはもちろん、食事やバスの座席などが予約できる仕組みになると便利なのではないだろうか。

一番大切なことは、滞りなく競技を終わらせること

 谷沢さんは選手の気持ちをこう代弁する。

「一番大切なことは、滞りなく競技を終わらせること。コロナの影響でこれまで当たり前だったことができなくなっています。だからこそ五輪&パラリンピック開催で最も大切なことは何なのか、開催の本質を見極めて柔軟に対応してほしい」

 田島さんは「NBAの(コロナ対策の)スタンダードで行えば、莫大なコストがかかると思います。どこにスタンダードを合わせるのか。リスクを理解して、覚悟を持って進めるしかないですよね」と言う。

 組織委員会が対応しなければならない問題は想像を絶するほど山積みだろう。

(合わせて リーグ再開のNBA、試合激減のMLB、感染爆発の大学アメフト……米国スポーツで“明暗が分かれた”理由 もご覧ください)

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