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羽生善治九段50歳に 大山康晴、加藤一二三…天才棋士たちの恐るべき“最年長記録”、羽生は超えられるか 

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相崎修司

相崎修司Shuji Sagasaki

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photograph byBungeishunju

posted2020/09/27 11:01

羽生善治九段50歳に 大山康晴、加藤一二三…天才棋士たちの恐るべき“最年長記録”、羽生は超えられるか<Number Web> photograph by Bungeishunju

9月27日に50歳の誕生日を迎えた羽生善治九段

 だが49歳11ヵ月にして、ついに念願の名人獲得。「菜の花はトウがたってから花が咲く」との名言を残した。翌年に羽生へ名人を明け渡したとはいえ、50歳で名人に在位したのは米長が唯一無二である。

 中原―米長のタイトル戦はこの名人戦が最後になった。だが両者の対戦はそれから10年続く。公式戦において正真正銘、最後の中原―米長戦となったのが2003年の第16期竜王戦ランキング戦2組である。187度目の対戦を制した中原は勢いに乗って挑戦者決定戦まで勝ち上がる。挑戦者決定戦では森内俊之に1勝2敗で敗れたが、55歳にして最高ランクの1組へ復帰を果たし、以降は61歳で引退するまでその地位を守った。60代で1組に在籍した棋士は中原と大山の2人しかいない。

50代の羽生善治は歴代棋士を超えられるか

 改めて、50代の羽生について考えてみる。過去の名棋士がそうであるように、50歳を過ぎてなお全盛期と同様の活躍をみせるのは難しいだろう。目に見える形で体を動かすスポーツとは異なるのでわかりにくいが、体力の低下も大きなマイナス要因となる。一つの例を挙げると、急所の局面で腰を落として考えることが出来なくなるそうだ。

 ただ、過去の棋士とは明らかに違う点が一つある。将棋ソフトの存在だ。ソフトの有効な活用法はまだ手探り段階としか言えないが、加齢によって生じたマイナスを補うことができる可能性はある。それまでのキャリアが違うので、若手棋士が使うのとはまた違った結果が見られるかもしれない。羽生自身、最近行われたインタビューでも、羽生は藤井二冠が行っているソフト活用法を取り入れると答えている。

 そういう意味では一つの試金石となるのが間もなく始まる竜王戦七番勝負であることは間違いない。豊島竜王とは2年ぶりのタイトル戦となるが、2日制のタイトル戦でぶつかるのは今回が初めてである。その点からでもこれまでとは異なった戦いが見られる可能性も高い。

 ニューモードの羽生善治が新たな金字塔を打ち立てるかどうか、注目である。

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