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藤浪晋太郎“完全復活”へ必要なこと。
藪恵壹が見る課題と起用法の提案。
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph byKyodo News
posted2020/08/28 11:40
21日ヤクルト戦で692日ぶりの勝利を挙げた藤浪晋太郎。藪氏は藤浪が勝利を重ねるために、起用法の「基準」を求めた。
藪氏が懸念する投手起用とは?
ただ、私が気になったのはその後の采配ですね。
7回は14日に一軍に戻ってきた岩崎優が無失点で締めたのですが、8回表にボーアがホームランを打ったあと、そのまま岩崎が打席に立ちました。8回はガンケル、9回はスアレスというリリーフ起用が多いので、続投なんだなと。ところがその裏にヤクルトの右の代打・廣岡大志がコールされると、あっさりガンケルに交代してしまいました。
ここからわかるのは、首脳陣がリリーフをイニング単位で決めていないということです。バッターが誰か、右打者なのか左打者なのかということを見て誰が投げるかを決めているんですね。これは投手にとってはかなりやりにくいはずです。
この回は自分のイニングだ、と決まっているほうが準備もしやすいですし、モチベーションも上がります。先発ピッチャーとしても、7回までとりあえず投げきれば良い、もし球数を少なく抑えられていれば、8回や9回を狙っていくんだ、と割り切れますしね。代打起用にしてもそうですが、ここは誰が行くかということが決まっているチームのほうが強いんですよ。相手チームにもわかるぐらいでいいんです。
しかもこのケースの場合、代打を送らずに岩崎を立たせたことで結果的に1打席ムダにしてしまっているわけですから。裏に誰が来ても岩崎と決めているなら打席に立たせればいいですし、8回はガンケルと決めていれば、二軍から上げたばかりだった小幡竜平ら若手に経験を積ませることもできたはずです。
些細なことかもしれませんが、こういったことにきちんと基準を設けてそれを守っていくことが、藤浪の2勝目、3勝目にも繋がっていくと思います。