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藤浪晋太郎“完全復活”へ必要なこと。
藪恵壹が見る課題と起用法の提案。
posted2020/08/28 11:40
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph by
Kyodo News
8月21日のヤクルト戦で、藤浪晋太郎が692日ぶりに勝利を挙げました。
ファンの皆さんにとっても待ちに待った1勝だったと思います。時間はかかりましたが、高卒新人から3年連続二桁勝利の逸材が、ようやく復活のスタートラインに立ったと言えるでしょう。
今季初登板は7月23日の広島戦でした。初回に大山悠輔のホームランで2点を先制し、5回までは無失点。これは、と期待しながら見ていましたが、6回にピレラに満塁ホームランを許してしまいました。あの1球だけがもったいなかったですが、限りなく無失点に近い4失点だったと思います。
続く2戦目のヤクルト戦(7月30日)は7回を投げきり、自責点は1(4失点)。投球自体は評価できる内容でしたが、守備の乱れが響き、援護点にも恵まれず。ツキがないな、という感じでしたね。このあたりからローテーションをしっかり担える位置をつかみました。
巨人カードの初戦に起用しては?
8月に入り、5日の巨人戦も4失点。相手先発・戸郷翔征の調子がよく、打線にもチャンスはありませんでした。
チームとしても今季は巨人に2勝8敗(8月28日現在)。特に岡本和真に打たれるシーンが目立ちますね。この“お得意様”状態を脱するために、藤浪の起用をカード初戦にしてみるのは有効だと思います。荒れ球がそもそも持ち味ですから、怖さを植え付けられますし、そうすれば自然と踏み込みも浅くなる。反応が遅れれば2戦目、3戦目の調子にも響くかもしれない。戦術として特性を活かしてあげることも大切だと思います。
このあとはしばらく間隔が空きました。相手チームに合わせてローテーションを変えているのだと思いますが、私の経験から言うとこれはやめてほしいところ。私は横浜が苦手でローテーションを飛ばされることが多かったのですが、そうすると苦手なままになってしまいますし、何より感覚が狂ってしまいかねないんです。藤浪も、14日の広島戦は今シーズンで一番調子が悪いように見えました。