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「打てる捕手」は配球こそが作る?
ロッテのドラ2佐藤都志也の原点とは。
posted2020/07/17 11:30
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Kyodo News
プロでのアピールは、打撃から始まった。
6月27日のオリックス戦。ロッテのドラフト2位ルーキー・佐藤都志也が「プロ初安打」「初打点」、そして「人生初」のサヨナラ打と、たった1打席での初物尽くしのパフォーマンスで強烈な爪痕を残した。
「打てる捕手」
佐藤都志也はそう評され、将来を嘱望されている。
東洋大で東都大学リーグ通算96安打を放ち、打率は3割2分5厘と4年間で安定した打棒を誇示した。ベストナインにも8シーズンで4回(うち2回は一塁手として)選出されるなど、守備力の高さも評価された。
大衆の興味を誘うネタとしては、マンガ『MAJOR』の主要登場人物で主人公・茂野吾郎の親友、佐藤寿也と同姓同名の「サトウ・トシヤ」であることも、「打てる捕手」というイメージをより浸透させているのかもしれない。
高校時代から“守備の男”だった。
捕手の場合、打てるが故に「守備は二の次」と言わんばかりに、それだけが時に独り歩きしてしまうことがある。
佐藤に至っては、それは誤りである。入団会見で「正捕手を諦めない」と意欲を語っていたそうだが、守備へのこだわりは近年に始まったことではない。
むしろ佐藤は、聖光学院時代から“守備の男”だった。
試合後の囲み取材などで、「今日のパフォーマンスについて」といった質問をすると、いつも守備から切り出していたものである。
「ピッチャーを生かすのがキャッチャーなので、守備は特に大事にしています」
そう声を張る佐藤の姿を思い出す。