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大きな期待、野球ノート、52番。
砂川リチャードが歩む鷹の王道。
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![田尻耕太郎](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/b/4/-/img_b43fe1177a9daa14cc32a4042896cbe77339.jpg)
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2020/07/11 08:00
![大きな期待、野球ノート、52番。砂川リチャードが歩む鷹の王道。<Number Web> photograph by Kyodo News](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/f/4/700/img_f43c4f1e825d26d51e7de8c07c00d1f4154315.jpg)
飛距離というのは天性の部分が大きい。砂川リチャードにホークスが期待をかける理由はあるのだ。
場外の林への測定不能のロマン砲。
その後参加した台湾でのアジア・ウインターベースボールリーグでは最初の6試合で3本塁打を量産。その後快音が止まってしまったが、同リーグの本塁打キングに輝いた。
今年に入っても、期待値はなお右肩上がり。2月の宮崎キャンプは育成選手ながら主力のA組入りを果たした。誰の目にも明らかな未来のスター候補生。ファンからの注目度も急上昇していった。
そしてリチャードは、その期待にバットで応えた。2月23日、今年最初のオープン戦にもバレンティンや今宮健太ら超一線級の選手たちとともにスタメン出場。その8回の打席で、バファローズのキャンプ地である清武のSOKKENスタジアムの左翼席後方にある林の中へ打ち込むホームランを放った。推定飛距離130メートルとされたが、実際のところは測定不能のロマン砲だった。
川崎にもらった差し入れの恩。
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3月15日のオープン戦としては最終戦だった広島戦(マツダ)では好投手の森下暢仁から左中間へアーチ。相手の中堅手がほとんど動かない完ぺきな打球で怪力ぶりを発揮した。
そのデーゲームが終わり、新幹線で地元福岡へ戻る車内で携帯電話が鳴った。支配下登録の一報だった。
翌日の記者会見で新しい背番号のついたユニフォームに袖を通したリチャード。当然、「52番」についての質問も飛んだ。
「良い番号だと思いました。52番はもともと川崎宗則さんがつけていた背番号。宗さんには台湾でのウインターリーグの時に、差し入れでチキンとかもらったりしていました。『たくさん食べるだろ』と、リチャード専用チキンも用意してもらっていた。とっても面白い人だなと思いました。自分も周りに愛される人間になりたいです」
もし、あのまま3月20日に開幕をしていれば、一軍入りはほぼ間違いなかった。
しかし、3カ月開幕が遅れた。いざペナントレースが始まると、リチャードは一軍から姿を消していた。