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大きな期待、野球ノート、52番。
砂川リチャードが歩む鷹の王道。
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![田尻耕太郎](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/b/4/-/img_b43fe1177a9daa14cc32a4042896cbe77339.jpg)
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2020/07/11 08:00
![大きな期待、野球ノート、52番。砂川リチャードが歩む鷹の王道。<Number Web> photograph by Kyodo News](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/f/4/700/img_f43c4f1e825d26d51e7de8c07c00d1f4154315.jpg)
飛距離というのは天性の部分が大きい。砂川リチャードにホークスが期待をかける理由はあるのだ。
ホークスに伝わる向上心の系譜。
この日のタイガース戦で待望の今季第1号を放った。じつはこれが公式戦で放った初めてのホームランだった。
試合後のリチャード。
「やっと打ったっす。あの打席はまた1つ試して、バットの握り方を変えてみました。右手は中指と薬指の2本だけで握る。左手に比べて右手が強すぎるから、その対策です」
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ホームランを打った次の打席。あえて、違うアプローチをして臨んでみた。結果は三振だった。
「打ったから同じではなくて、まだいろんなことを試したいと思っています。打席を1つ終えるごとに収穫も反省もあるので、それを必ずノートに書いています。答えはなかなか見つからないけど、いつの日かいいものだけを集めた打ち方をしたい」
この考え方は、ホークスの主砲である柳田悠岐とよく似ている。シーズン中でも変化することを恐れず、常にいろんなことを試す。柳田だけではない。内川や小久保裕紀ら、ホークスで中軸を打った打者は皆同じことを話していた。
「現状維持は衰退だから」
それは王貞治会長の言葉だった。
どんなステージでも壁はあるのだ。
2020年、リチャードはスターダムを一気に駆け上がるのではと多くの人が期待をした。だが、やはりプロ野球は、そして人生は甘くない。
でも、どんなステージに立っても行く手を阻む壁は出現する。それを乗り越えるからこそ、強くなれる。だからリチャードは苦心の日々も決して無駄ではないと信じて、己の道を進み続ける。
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