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大きな期待、野球ノート、52番。
砂川リチャードが歩む鷹の王道。 

text by

田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byKyodo News

posted2020/07/11 08:00

大きな期待、野球ノート、52番。砂川リチャードが歩む鷹の王道。<Number Web> photograph by Kyodo News

飛距離というのは天性の部分が大きい。砂川リチャードにホークスが期待をかける理由はあるのだ。

ホークスに伝わる向上心の系譜。

 この日のタイガース戦で待望の今季第1号を放った。じつはこれが公式戦で放った初めてのホームランだった。

 試合後のリチャード。

「やっと打ったっす。あの打席はまた1つ試して、バットの握り方を変えてみました。右手は中指と薬指の2本だけで握る。左手に比べて右手が強すぎるから、その対策です」

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 ホームランを打った次の打席。あえて、違うアプローチをして臨んでみた。結果は三振だった。

「打ったから同じではなくて、まだいろんなことを試したいと思っています。打席を1つ終えるごとに収穫も反省もあるので、それを必ずノートに書いています。答えはなかなか見つからないけど、いつの日かいいものだけを集めた打ち方をしたい」

 この考え方は、ホークスの主砲である柳田悠岐とよく似ている。シーズン中でも変化することを恐れず、常にいろんなことを試す。柳田だけではない。内川や小久保裕紀ら、ホークスで中軸を打った打者は皆同じことを話していた。

「現状維持は衰退だから」

 それは王貞治会長の言葉だった。

どんなステージでも壁はあるのだ。

 2020年、リチャードはスターダムを一気に駆け上がるのではと多くの人が期待をした。だが、やはりプロ野球は、そして人生は甘くない。

 でも、どんなステージに立っても行く手を阻む壁は出現する。それを乗り越えるからこそ、強くなれる。だからリチャードは苦心の日々も決して無駄ではないと信じて、己の道を進み続ける。

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