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【THIS IS MY CLUB】横浜FC元10番、
内田智也広報が語る“再入社”と未来。 

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谷川良介

谷川良介Ryosuke Tanikawa

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photograph byJ.LEAGUE

posted2020/07/03 11:45

【THIS IS MY CLUB】横浜FC元10番、内田智也広報が語る“再入社”と未来。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

2019シーズン、本拠地ニッパツでサポーターと歓談する内田智也広報。現役選手からの転身例として新たな道を歩もうとしている。

広報の慌ただしい1日と歳上の重鎮。

 広報の始業は朝8時。主な業務は選手周りのケアだ。まずは取材依頼のメールチェックから。午前中から練習が始まる日はすぐにミーティングに参加し、1日の流れを把握する。練習が始まるとグラウンドに足を運び、SNSで使用する写真や動画を撮影。練習後はファンサービスの対応、と目まぐるしい。

 マッチデーとなれば、メディア対応はもちろん、試合前にはスタジアムMCとともに試合の見どころを紹介。試合後には、地元タウン誌用のマッチレポートの執筆・入稿まで行なっている。

 そんな毎日を1年弱過ごし、内田は何を感じているのだろうか。

「カズさんは毎日のように取材依頼が届くので、調整が本当に大変です。選手の気持ちがわかる分、それぞれ置かれた状況や顔色を見て判断する。そこは人一倍気を使っていますね」

 53歳のカズ、42歳の中村俊輔、さらには41歳南雄太、39歳松井大輔……問い合わせの量が膨大なのは言うまでもないが、もうすぐ37歳を迎える内田をもってしても歳上の重鎮たちが揃うわけだ。気苦労も多いのでは?

「いやいや、本当に人間としても素晴らしい方ばかりですからね。特にカズさんとは一緒にプレーしていましたし、それに僕は末っ子なんで、上の人の方がやりやすいんですよ」

 こちらの意地悪な質問も笑顔でさらりと抜き去っていった。

事業部と強化部、現場などの繋ぎ役。

 現役時代さながらの気配りが光る内田だが、大事にするのはもちろん選手とのコミュニケーションだけではない。クラブを動かす仕事においても、つなぎ役としての使命感に燃えている。

「強化部との考えを擦り合わすことが大事だと思っています。そこにズレがあると自分たちの活動も制限されてしまう。現場は生き物というか、日々変化するもの。たとえば事業部発案の企画を進めていたとしても、現場の状況や強化部の意向が変われば実現できなくなる。練習を公開するかどうか1つをとっても、事業部と強化部の温度差が当然生まれるものなので、そこの間に立って調整することも僕の重要な役割かなと」

 現在は別の棟に常駐する事業部と強化部の架け橋となるべく、クラブハウス内を走り回っている。そんな日々の中で内田はクラブの変化を少しずつ感じ取っていた。

「これまで横浜FCは選手が表に出る機会が意外と少なかったんです。メディアへの露出、子どもたちに夢を語る場など、そういった活動をもっとした方がいいと強化部の方々と話をしました。現在はいただいた取材もできる限りは受けることにしていますし、(協力する態勢は)変わって来たのかなと思います」

【次ページ】 広報としての原動力となる思い。

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