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【THIS IS MY CLUB】横浜FC元10番、
内田智也広報が語る“再入社”と未来。
text by
谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/07/03 11:45
2019シーズン、本拠地ニッパツでサポーターと歓談する内田智也広報。現役選手からの転身例として新たな道を歩もうとしている。
今は来た仕事で精一杯だとしても。
取材中、まだ広報としては至らない部分がある、と何度も口にした。それでも話を聞いていると、内田が前社長から「引退したらうちに来い」と誘われた理由がよくわかる。
「これまでのキャリアで経営の視点をあまり持ってこなかった。だからいまはまだ、ただ来た仕事を受けることに精一杯で、自分から生み出して仕掛けていく施策がなかなか打てていない。自分が何のためにやっているのか、そういう理念みたいなものを今後は持てたら、もっとクラブの良い部分を伝えていけるのかなと思いますね」
今季、プレーヤーとして経験したJ1の舞台に、13年ぶりに広報として戻ってきた。1節しか消化していないから、忙しさはまだわかっていないと言うが、2月23日のヴィッセル神戸との開幕戦の雰囲気は「やっぱりJ1の雰囲気は違った」。変則的な業務に戸惑いながらも、再開への準備を着々と進めている。
「コロナの影響もあって、これまで以上にスタジアムは安心、安全な運営が求められています。運営の方々が懸命に準備しているので、サポーターの皆さんに楽しんでもらえる日を迎えるために、私たちも協力しながら裏方の準備をしっかり伝えていきたい」
ニッパツの見え方も、変わった。
本拠地ニッパツ三ツ沢球技場は、サッカー専用スタジアムだ。コンパクトな分、他のスタジアムでは味わえない熱狂がある。ピッチ内にいた時はプレーに夢中だったが、「改めて外から見ると良いスタジアムですね」と見え方が変わった。でも、もうプレーしたいという気持ちはないと笑顔で言い切った。お客さんで埋まったスタジアムで選手たちが伸び伸びとプレーすることを望んでいる。
いつしかキックオフの合図は主審の笛からパソコンの主電源に変わった。スーツというユニフォームもすっかり板についてきた。チームの中心にいた内田選手はすっかり広報の内田さんなのである。
それでもサッカー、Jリーグ、横浜FCへの愛は変わらない。こんな人たちに囲まれたリーグなら、きっと日常を取り戻せる。以前のようにスタジアムでサッカーを観られる日が来たら、ぜひ大きな声でウッチーにもエールを送ろう。
広報・内田智也のJ1挑戦は第2節から再び動き出す。