酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
甲子園ヒーローと無縁校ベスト9。
清原&松坂vs.長嶋&稲尾の豪華さ。
posted2020/06/02 08:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Katsuro Okazawa/AFLO(L)、Katsuro Okazawa(C)、Masahiko Ishii(R)
夏の甲子園が中止になった。有力校の指導者の中には「子どもたちに何と声をかけていいかわからない」という人もいる。選手の中には人生計画が崩れたと感じる人もいるだろう。
その気持ちは痛いほどわかるが、甲子園だけが人生ではないし、甲子園に出なければ野球ができないわけでもない。
これは気休めで言っているわけではない。甲子園で大活躍した選手と、全く無縁のままにプロに進んだ選手の実績を比べてみると“甲子園だけが野球じゃない”ことがしみじみと分かってくる。
甲子園決勝に進んで200勝の投手は……。
そんなことを考えながら、プロ入り後に素晴らしい記録を残した「甲子園で活躍した選手」と「甲子園に全く無縁の選手」のベストナインを組んでみた。
「甲子園で活躍した選手」は優勝、準優勝した選手から、「無縁の選手」は自身が甲子園に出ていないだけでなく、出身校も一度も甲子園に出場していない選手から選んだ。また2リーグ分立の1950年以降に入団した選手を対象としている。
まず「甲子園で活躍した選手」のベストナインから見ていこう。投手と外野手は3人選出しつつ、高校時代は投手でプロで野手に転向した選手は、プロ入り後のポジションとした。成績はNPBで残したものである。
<「甲子園で活躍した選手」ベストナイン>
〇投手
平松政次
岡山東商-日本石油-大洋
201勝196敗 防御率3.31
1965年春優勝。1950年以降、甲子園の決勝のマウンドを踏んだ投手で、プロ入り後200勝以上したのは平松だけである。
桑田真澄
PL学園-巨人-MLB
173勝141敗 防御率3.55
1983年夏優勝、1984年春・夏準優勝、85年夏優勝。史上最強の高校生投手だといえる。プロ入り後は沢村賞1回。最優秀防御率2回のタイトルを獲得した。
松坂大輔
横浜-西武-MLB-ソフトバンク-中日-西武
114勝65敗 防御率3.04
1998年夏の甲子園の決勝でノーヒットノーランを記録して優勝。西武入団1年目から3年連続最多勝。「松坂世代」のフラッグシップだ。
この3人に続いて、優勝投手では尾崎行雄(浪商-東映・日拓)が107勝、池永正明(下関商-西鉄)が103勝、野村弘樹(PL学園-大洋・横浜)が101勝。