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日本野球に“早生まれ”が少ない理由。
野球界は最終目標をどこに置く?

posted2020/05/30 20:00

 
日本野球に“早生まれ”が少ない理由。野球界は最終目標をどこに置く?<Number Web> photograph by Yu Takagi

子供たちにとって体格差は大きい。それによって試合に出る機会を失っては、可能性を狭めることになる。

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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 小中学生の野球少年・少女たちを取材することが多い。彼らの夢は、最近でこそ「メジャーリーガー」も増えてはきたが、大半が「甲子園出場」や「プロ野球選手」だ。

 だが、それが「生まれた月」によって夢が絶たれてしまっているとしたら、あなたはその不条理を受け入れることができるだろうか?

 こんなことを言えば大げさに聞こえるかもしれない。しかし、実際にそのようなデータがある。特に年度で区切った際の後ろ3カ月である1~3月(4月1日生まれを含む)の、いわゆる「早生まれ」が大きな不利を被っている。

「プロ野球選手は4~6月が34.1%に対し早生まれ(1~3月)が15.5%、甲子園球児(センバツ大会)も4~6月生まれがかなり多く、早生まれは15%にも満たないというデータがあります。プロ野球選手のデータよりも生まれ月の偏りが顕著です」

 自身の研究データを基にそう話すのは、東京農業大学の勝亦陽一准教授。勝亦氏は早稲田大学野球部OBで発育・発達や育成年代の運動指導などを専門とする。中でも「生まれ月による格差」は長年にわたり研究を進めてきた。

 生まれ月の問題が大人まで残るということは、低年齢になればさらにそれが顕著になる。以下のデータは勝亦氏の研究に基づいたものだ(2018年発表)。

早生まれが少ない、というデータ。

<プロ野球選手の生まれ月別の人数比率(全2238名)>
4~6月 34.1%
7~9月 29.9%
10~12月 20.5%
1~3月 15.5%

<センバツ出場選手の生まれ月別の人数(全3636名)>
4~6月 39.0%/32.1%
7~9月 29.8%/29.7%
10~12月 19.5%/21.3%
1~3月 11.8%/16.9%
※中学硬式出身/中学軟式出身

<野球選手全体の生まれ月分布> 
[小学生]
4~6月 26.9%
7~9月 25.1%
10~12月 25.5%
1~3月 22.5%

[中学生]
4~6月 29.5%
7~9月 27.5%
10~12月 23.5%
1~3月 19.6%

[高校生]
4~6月 32.2%
7~9月 28.8%
10~12月 21.2%
1~3月 17.8%

出典)
Yoichi Katsumata, Kohei Omuro, Naotoshi Mitsukawa and Hiroki Nakata.
Characteristics of Relative Age Effects and Anthropometric Data in Japanese Recreational
and Elite Male Junior Baseball Players.
Sports Medicine, 2018.

【次ページ】 成長の遅さは出場機会を奪う。

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