“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J1札幌内定の2mGK中野小次郎。
伸び続ける身長に悩み苦しんだ過去。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2020/05/19 11:40
来季からJ1札幌へ加入が発表されている法政大4年中野小次郎。日本待望の大型GKだ。
「今はこの高さがあって良かったと」
特別指定選手として選手登録されていた中野は、このリモートインタビューを敢行した時、札幌にいた。大学サッカーがオフシーズンともあって、プロに混ざって練習に励んでいたが、緊急事態宣言が全国に出されたこともあり、活動は中止。大学にも戻れず、札幌の選手寮で過ごす日々が続いていた。
「こういう難しい状況ですが、こうして自分がプロで戦うための取り組みができていることが嬉しいし、楽しいです。周りのレベルが凄く高い。菅野(孝憲)選手は練習への意欲が凄まじいですし、ク・ソンユン選手は相手に『蹴るところがない』と言わしめるくらいシュート練習でも全然入れさせない。
まだまだ足りないことが多いと痛感するのですが、それが逆に楽しいんです。練習から『絶対止めて、ク・ソンユン選手のように相手が困るようなGKになりたい』と心から思わせてくれます。自粛期間も将来のために勉強など、将来に生きることに取り組んでチャレンジしたいとどんどんモチベーションが湧き上がってくる気持ちです」
あの上野コーチのひと言から中野のサッカー人生は急速に動き出した。コンプレックスという自分を覆っていた分厚い殻を打ち破り、すべてを受け入れることができた。
「もう『言いたい奴は言わせておけ』の精神でプレーできています。今はもうこの高さがあって良かったと思っていますし、この高さに甘えるつもりは一切ありません。本当に上野コーチには心から感謝をしています」
うつむきがちだった目線はどんどん上がっていき、誰よりも高い視線でまっすぐに未来を見つめている。そこに不安は一切ない。自分が自分であることに大きな自信を持っているのだから。