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J再開後に期待したい大卒ルーキー。
前編・FC東京と川崎の充実っぷり。
posted2020/04/09 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
J.LEAGUE
新型コロナウイルスの影響で、Jリーグは第1節とルヴァンカップの1試合を消化した状況で中断を余儀なくされている。現時点でも未だ再開の見通しは立っていない。
ここでJリーグ再開を心待ちにしているファンのために、J1全クラブの新人事情について触れてみようと思う。開幕前に高卒ルーキーを扱ったが、今回は大卒選手に焦点を当てて、各クラブの意図を分析したい。
基本的に大卒選手は「即戦力」として活躍が見込まれている。高卒は育てて将来へつなげる意図が強いが、昨今の大卒選手獲得を見ると、戦力として計算できる選手にしか獲得に乗り出さないクラブが増えてきた印象だ。もちろん「将来性」を買われる選手もいるが、その場合はチームの軸となる選手をすでに獲得しているクラブ、もしくはGKやCBなど育成に時間のかかるポジションに限られている。
是非、みなさんも応援するクラブのスカウトになった気持ちで読んでいただきたい。前後編に分けて、昨季の成績順に見ていこう。
※開幕戦の出場状況/★…フル出場、◎…途中交代、○…途中出場、△…ベンチ入(未出場)、-…ベンチ外
ポステコサッカーに欠かせないGK。
<横浜F・マリノス>
GKオビ・パウエル・オビンナ(流通経済大)→-
最優先補強ポイントであったGKに、流通経済大からオビ・パウエル・オビンナを獲得した。
現在、マリノスの守護神には「ポステコグルー監督の申し子」とも言える30歳・朴一圭が君臨している。セカンドGKには、昨季途中に飯倉大樹がヴィッセル神戸に移籍したことでサンフレッチェ広島から33歳・中林洋次をレンタル移籍で獲得(12月には完全移籍に切り替え)、さらに今季は徳島ヴォルティスで活躍した28歳・梶川裕嗣を補強。まさに万全の布陣と言えよう。
だが、彼らに続く4番目の存在となると少し世代が分断される。現在J3・SC相模原にレンタル中の原田岳は21歳、2021年シーズンからの加入が決まっている田川知樹(興國高)はまだ高校3年生だ。それだけに大卒、もしくは20代前半のGKの補強は十分に予想できた。
そこで白羽の矢が立ったのがオビであった。チームナンバーワンとなる193cmの高さを誇り、ハイボールの処理のうまさと長い手足を生かした広範囲のセービングが魅力の世代別代表でも活躍した注目株である。
個人的にはオビを即戦力として、中林は完全移籍へ移行すると予想していたので、梶川の獲得は予想外だった。だが、今季の4人は33歳、30歳、28歳、22歳と年齢バランスは悪くない。それゆえ、競争は過酷だ。レンタル中の原田と田川がいることを考えると、来季は誰かしらが放出候補となることは予想できる。オビは1年目とはいえ、3番手、2番手と序列を上げる活躍が求められるだろう。