“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J再開後に期待したい大卒ルーキー。
前編・FC東京と川崎の充実っぷり。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/04/09 07:00
開幕戦では揃って出場した三笘(右)と旗手。選手層が厚い川崎でも出番は巡ってきそうだ。
即戦力3人を獲得したFC東京。
<FC東京>
DF中村帆高(明治大)→★
MF安部柊斗(明治大)→-
MF紺野和也(法政大)→○
FC東京にとって即戦力大卒ルーキー3人を獲得できたことは大きかった。緩急と独特のステップで相手の隙間を縫うドリブラー紺野、下部組織出身で豊富な運動量とボール奪取能力に長けたボランチ安部、アップダウン能力と攻守における1対1の強さを誇るサイドバック中村と、いずれもチームに必要な能力を備えた選手である。
高卒編でも記したように、FC東京はボランチとサイドバックが補強ポイントだった。開幕戦では早速、中村が左サイドバックでスタメン出場を飾り、攻守においてハードワークを厭わないプレーを見せた。
安部も昨季のうちに特別指定選手としてJリーグデビューを済ませている。相手の攻撃の芽を潰す守備だけではなく、前への推進力を併せ持ち、ドリブルで打開できる力も魅力なだけに、今後要所でキーマンとなる存在になるだろう。
また、紺野も開幕戦で途中投入されている。独特のリズムを刻むドリブルは武南高時代から健在だったが、高校時代はハードワークという面で物足りなさがあった。しかし、法政大に進むと運動量が増え、ドリブルの出しどころの見極めも向上し、プレーにメリハリが出てきた。試合途中から流れを変えるジョーカー的な存在としてだけでなく、スタメンでの起用でも十分に期待に応えてくれそうだ。
上田加入で超高校級獲得が実現。
<鹿島アントラーズ>
なし
今季の鹿島は大卒ルーキーを獲得せず、新人はFW染野唯月(尚志)、MF荒木遼太郎(東福岡)、MF松村優太(静岡学園)、GK山田大樹(ユース)の高校生4人のみ。彼らの将来性に期待するオフとなった。しかし、新大学4年の世代ではあるが、2019年に飛び級加入しているFW上田綺世がこの大卒枠に当てはまると考えることもできる。
鹿島の最重要補強ポイントの1つであったストライカーのピースに、上田を早めに獲得したことで、将来性豊かな高校生アタッカーの獲得に時間を割くことが可能となったとも言えるだろう。
超高校級と謳われる面々の中でも点取り屋・染野の獲得は将来を見据えても非常に大きいと見ている。「いずれは上田と染野のツートップを期待している」とは、椎本邦一スカウト部長の言葉だ。21歳・上田を中心とした若手たちのブレイクが待たれる。