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J再開後に期待したい大卒ルーキー。
前編・FC東京と川崎の充実っぷり。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byJ.LEAGUE

posted2020/04/09 07:00

J再開後に期待したい大卒ルーキー。前編・FC東京と川崎の充実っぷり。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

開幕戦では揃って出場した三笘(右)と旗手。選手層が厚い川崎でも出番は巡ってきそうだ。

大卒ゼロも、柏の後継者探しは完了。

<サンフレッチェ広島>
なし

 広島のルーキー補強はユースからFW鮎川峻、MF土肥航大の2選手にとどまった。チーム全体を見渡しても、年齢バランスもよく、若手の台頭もあるため、即戦力の大卒選手は見送った形だ。

 唯一懸念する点を挙げるとすれば、センターフォワードとサイドアタッカーだ。中でもFW陣の平均年齢は、ドウグラス・ヴィエイラ・32歳、永井龍・28歳、レアンドロ・ペレイラ・28歳と高い。サイドハーフも、左の柏好文、右のハイネルという不動の存在がいるが、それぞれ32歳と29歳。だからこそ、サイドハーフもこなす鮎川のトップ昇格は納得できるのだが、来季以降は即戦力の大卒選手を補強するだろうと予想していた。

 すると、広島の強化部はその読み通り素早い動きを見せた。MF藤井智也(立命館大)の2021年シーズンからの加入を発表したのだ。

 藤井は岐阜・長良高校出身。高校時代からずばぬけたスピードを持ったアタッカーだったが、全国大会の出場経験はゼロ。つまり無名の存在だった。しかし、立命館大で頭角を現すと1年次から出場機会を掴み、そのスピードに乗ったドリブルを磨き上げた。トップスピードに乗った仕掛けから放たれるクロスやラストパスの精度は高く、昨季の関西大学リーグでは14アシストでアシスト王を獲得。天皇杯の横浜FM戦でも左サイドを切り裂いて躍動した。彗星の如く現れた左アタッカーには広島のほか、川崎、大分が獲得に動いたという。柏の後継者が急務だった広島の熱意が実った形だ。

 ユースから昨季昇格した東俊希とライバル関係になるが、東はシャドーでの起用が多く、左サイドにおける藤井にかかる期待は大きい。特別指定選手として早速、開幕戦でベンチ入りしたのは、その裏付けだろう。となると、来季の補強ポイントは右サイドのアタッカーになると予想できる。

ガンバは地元から実績十分の2人を獲得。

<ガンバ大阪>
DF黒川圭介(関西大)→-
MF山本悠樹(関西学院大)→-

 地元・関西の大学から2選手を獲得したG大阪。山本は草津東高校時代、トップ下の位置からクオリティーの高いドリブルやパスを操り、「高卒でもプロで通用する」と言われていた逸材だ。関西学院大ではボランチからトップ下まで幅広くこなし、中でも守備面でのボール奪取を磨いたという。

「高校時代、セレッソの練習に参加をした時に山口蛍選手のプレーを見て衝撃を受けた。全然かわせないし、しっかりとボールを奪える選手にもならないと上で通用しないと思った」

 自らボールを奪い、広い視野と正確なキックを生かす。G大阪の中盤は激戦区だが、ここに割って入れるだけの実力はある。

 黒川は大阪桐蔭高から関西大学に進学。左サイドバックとして豊富な運動量と積極的な仕掛けを磨いてきた。すでに昨季にJ1デビューを飾っており、首脳陣の期待も高い。左サイドバックには藤春廣輝とオ・ジェソクというライバルがいるが、ともに30歳を超えるベテランの域に入った選手だ。ライバルは20歳・山口竜弥、21歳・タビナス・ジェファーソンとこれからの選手。中間層となる黒川は、年齢的にもチームの中心となる活躍が求められるだろう。

【次ページ】 神戸の将来を担う筑波大CB。

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