酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
坂本勇人、鳥谷敬、ジーター。
名ショートと守備範囲の数値「RF」。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2020/02/03 11:15
2019年セリーグMVPに輝いた坂本勇人。打てて守れるショートとして球界最高峰の選手は、数年後どのようなキャリアを築いていくのか。
鳥谷で感じたコンバートの難しさ。
遊撃手というポジションは、内野手では最も守備範囲が広い。いかにスターであっても守備範囲が狭まり処理できる打球の数が減っては、そのまま据えておくわけにはいかない。打撃を活かすためにも、他のポジションにコンバートするケースがある。
そのタイミングの難しさを感じさせたのが、今季の去就が注目される鳥谷敬だ。
2012年以降の鳥谷の遊撃手としてのRF(1試合当たりの守備機会)、リーグ順位と打率の推移は以下の通りである。
2012年 31歳
RF 4.74(2位)打率.262(14位)
2013年 32歳
RF 4.78(2位)打率.282(9位)
2014年 33歳
RF 3.97(3位)打率.313(7位)
2015年 34歳
RF 4.10(2位)打率.281(7位)
2016年 35歳
RF 3.75(6位)打率.236(26位)
シーズンによって変動するが、遊撃手のRFはトップクラスで4.5を超える。一方で4を割ると平均水準を割るイメージだ。
かつてはリーグ屈指の守備範囲だった。
鳥谷は2013年まで、リーグ屈指の守備範囲を誇っていた。しかし翌年から数値的に守備範囲が狭くなり始めていたが、打撃が好調だったこともありコンバートの話はなかった。
また2013年から3年連続でゴールデングラブも獲得している。この賞は記者投票で、データはあまり反映されない。「守備のうまいショートは鳥谷」というイメージもあっただろう。
そしてRFが3点台となった2016年、同じタイミングで打撃成績も下落した。
翌2017年に三塁にコンバートされると打率.293(8位)と成績は回復し、三塁でゴールデングラブ賞を取った。しかしその翌年、二塁に再コンバート。再び成績は下降した。
特に打撃が良い遊撃手は、コンバートのタイミングが難しいのだ。