酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
坂本勇人、鳥谷敬、ジーター。
名ショートと守備範囲の数値「RF」。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2020/02/03 11:15
2019年セリーグMVPに輝いた坂本勇人。打てて守れるショートとして球界最高峰の選手は、数年後どのようなキャリアを築いていくのか。
ジーターの「RF」のピークは31歳。
ここで思い出すのは今年、MLBで候補1年目で野球殿堂入りしたデレク・ジーターである。ジーターは20年のキャリアで遊撃手以外のポジションを守ったことがなく、40歳で引退する日まで遊撃手だった。
それ自体が驚異的なことだが、RFは31歳の4.56をピークに下がり続け、現役最後の2014年は3.08。守備面ではチームにかなり影響を与えていた。
もちろんジーターは、打撃に加えてチームを高揚するリーダーシップ、スター性など、数字に表れない貢献があった。だからヤンキースは守備に多少目をつむっていたのだとは思う。
坂本勇人がここまで残した足跡は、まさに“巨人のデレク・ジーター”のような存在だ。
彼をそのまま遊撃手で使い続けるのも1つの考えではあるだろうし、その能力を見れば坂本の正遊撃手の座は当面揺るがないだろう。だとしても「RF」を踏まえると、サブの遊撃手をしっかり育てる時期に来ているのではないか。