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鹿島が元日の天皇杯決勝に託すもの。
大岩監督の最終戦、3年間の総決算。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byGetty Images

posted2019/12/30 11:50

鹿島が元日の天皇杯決勝に託すもの。大岩監督の最終戦、3年間の総決算。<Number Web> photograph by Getty Images

大岩体制で臨む最後の試合が元日の天皇杯決勝。アントラーズの歴史に残る1日になる。

10月以降は得点ペースが激減。

 シーズン終盤には、得点力不足にも苦しんだ。

 10~12月の公式戦11試合で、鹿島は10得点しか挙げていない。9月までのリーグ戦27試合で49得点だったことを考えると、大きな変化と言えるだろう。チーム内得点王のセルジーニョはシーズン12得点で、今年の鹿島は絶対的ストライカーがいるチームではない。

 そんな中で、攻撃の潤滑油となっていたのが2トップの一角の土居聖真だった。

 鹿島のシステムは4-4-2だが、2トップと攻撃MFの4人は頻繁にポジションを変える。そこに両サイドバックやダブルボランチが参加していく。人を使い、人に使われることで生まれる連動性が鹿島の武器である。

 その中で、黒子にもなり、ゴールゲッターにもなる土居の存在が多くの勝ち点を生んだ。

 しかし、得点力が低下するなかで土居は葛藤していた。

前線の人数か、自分の特性か。

 サイド攻撃も鹿島の持ち味だが、クロスを入れた時にゴール前に選手がいないシーンがあった。2トップはゴール前に残ってほしいという声が出るのも無理はない。とはいえ、前線に残っているだけでは土居の力が活きない。

 シーズン終盤はマークも厳しくなり、前線でボールを失ってカウンターを受けることで、DFラインが下がる悪循環も生まれ、ゴールが遠くなった。

 好調なときは、堅守速攻も鹿島の得点パターンだった。しかし、引いて堅く守る相手に対してボールを大事にし過ぎてしまい……という、負のループにハマる試合も少なくなかった。

 シュート数が少なくとも、パス成功率やポゼッションが低くとも勝てばいい。1点差の勝利でも、勝利は勝利だ。

 勝利のあとにそう胸を張るのが鹿島の選手たちだし、それが鹿島らしさと言われてきた。しかし、1点差で逃げ切れるという安心感は薄れてきた。得点力の低下は、そのまま成績の低下につながった。

【次ページ】 「目の前のタイトルに全力で」

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