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鹿島が元日の天皇杯決勝に託すもの。
大岩監督の最終戦、3年間の総決算。
posted2019/12/30 11:50
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
「非常にタイトな試合で、勝ちあがることが第一なので、非常に嬉しいです。今シーズンやってきた次の試合へ向けての改善と継続を最後の決勝戦でも繰り返して、必ず勝とうという話を選手たちにしました。以上です」
12月21日の天皇杯準決勝、長崎戦を3-2で終えたあと、鹿島アントラーズの大岩剛監督は公式会見でそう語った。
すでに12月11日、契約満了で今シーズン限りでの退任が発表された大岩監督にとって、カシマスタジアムでの最後の試合を勝利した安堵感が伝わってくる。
とはいえ、その内容は監督の言葉通り厳しいものだった。
開始4分で先制し、23分には相手のオウンゴールで2-0とリードしたものの、37分に失点。73分に突き放す3点目が決まるが、76分に再びにじり寄られ、3-2で何とか逃げ切った。
「ここ数試合、ずっとこういう内容だからなぁ」という、試合後の鈴木満フットボールダイレクターの苦い表情と少ない言葉が鹿島の苦境を物語っている。
残るタイトルの可能性は天皇杯だけ。
4冠すべての獲得をめざしスタートした2019年シーズンだったが、リーグ戦は終盤に後退し最終成績は3位。ACLは準々決勝で、ルヴァンカップは準決勝で敗退している。
そしてリーグ31節の川崎戦に敗れ、32節の広島戦をドローで終えたあと、大岩監督は、フロントに「責任をとる」と辞意を伝えた。
大岩体制は、2017年シーズン途中にコーチからの昇格で始まった。就任当時は7位だったが、その後8勝1分けで首位に立つ。しかし、あと1勝で優勝というところでドローが続いて川崎フロンターレに勝ち点で並ばれ、最終的には得失点差で優勝を逃した。
古巣でもあるジュビロ磐田を相手に0-0で引き分けた最終節の後、大岩監督は「攻撃のアイディアをチームにもたらせなかった」と目を潤ませながら語った。