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鹿島が元日の天皇杯決勝に託すもの。
大岩監督の最終戦、3年間の総決算。 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byGetty Images

posted2019/12/30 11:50

鹿島が元日の天皇杯決勝に託すもの。大岩監督の最終戦、3年間の総決算。<Number Web> photograph by Getty Images

大岩体制で臨む最後の試合が元日の天皇杯決勝。アントラーズの歴史に残る1日になる。

怪我人が続出、主力の欧州移籍。

 では、なぜ鹿島は失速してしまったのだろうか。

 昨季同様、今季も怪我人が相次いだ。

「ターンオーバーということは考えていない。その試合に向けた最善の選手を選んでいるにすぎない」

 大岩の言葉は、その台所事情の厳しさを表す。使える選手をやりくりして試合に挑む状況が、シーズンを通して続いていた。

 そのうえ、夏には鈴木優磨、安西幸輝、安部裕葵がヨーロッパへ移籍。主力3選手の離脱は小泉慶、上田綺世、相馬勇紀(レンタル移籍)の加入で補った。8月10日の横浜FM戦は、小泉が初先発フル出場して上田の初ゴールで勝利。つづく大分戦では相馬のゴールで連勝を飾る。

 ACLは準々決勝で敗退したものの、ルヴァンカップは準決勝へ進出。リーグ戦では28節終了時に首位に立つ。その直後にルヴァンカップ準決勝で川崎に敗れ、天皇杯準々決勝ではJFLのHonda FCに1-0で勝利したが、相手のシュートミスで救われるという戦いぶりだった。

 そして11月のリーグ戦は、浦和に勝利、川崎に敗北、そして広島との試合に引き分けると、ホーム最終節の対ヴィッセル神戸戦は1-3の完敗といいところがなかった。

内田「力の無さ、不甲斐なさを痛感した」

 神戸戦の後のセレモニーで、キャプテンの内田は「今日を含めて今季、自分たちの力の無さ、不甲斐なさを痛感しました。リーグ戦があと1試合、それから天皇杯2試合。自分たちのリベンジの場がある。必ず元旦、新国立でいい結果を残せるように準備します」と挨拶した。

 その後スタジアムを一周した際には、三竿健斗がブーイングをするサポーターと言いあうシーンもあった。三竿はその後、「11月に入ってから勝てなくて、そこで自分たちが失ったものの大きさをホーム最終戦でやっぱり感じた。ブーイングもたくさんされて、そういうクラブにいるということを再確認できた」と話している。

 2位や3位では許されない。それが鹿島だということだ。大岩監督が「責任をとる」と言ったのもそこに起因している。

【次ページ】 10月以降は得点ペースが激減。

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